― 「やってあげた」が赤字を生む ―

前回は、赤字工事を未然に防ぐために
見積精度がいかに重要かを解説しました。

しかし、見積をどれだけ丁寧に行っても、
建設業では避けられない現実があります。

それが、
追加工事・仕様変更です。

この対応を誤ると、
当初は黒字だった工事が、
気づけば赤字に転落します。


なぜ追加工事は回収されないのか

建設業で追加工事が回収されない理由は、ほぼ共通しています。

  • 工期を優先して先に作業してしまう
  • 口頭指示のまま進めてしまう
  • 金額を確定させないまま現場が動く
  • 「後でまとめて請求すればいい」と考える

結果として、

やった事実はあるが、請求できない

という状況が発生します。


追加工事は「例外」ではなく「前提」

重要な認識転換があります。

追加工事・仕様変更は、
イレギュラーではなく、必ず起こるもの
という前提で、仕組みを作る必要があります。

  • 図面の読み違い
  • 施主の要望変更
  • 現場状況による仕様変更

これらは、
どれだけ準備しても完全には防げません。

問題は、
起きた後にどう対応するかです。


回収できる会社が必ずやっている3つのルール

追加工事を確実に回収している会社には、
共通するルールがあります。

① 作業前に「金額と条件」を明確にする

最低限、次を押さえます。

  • 追加内容
  • 概算金額
  • 工期への影響

書面でなくても、
メールやチャットで記録を残すだけでも効果があります。


② 現場判断で進めない

「現場が回らなくなるから」
という理由で、
金額未確定のまま作業を進めるのは危険です。

現場には、
判断権限の線引きが必要です。

  • 〇円までなら現場判断
  • それ以上は必ず承認

このルールがないと、
赤字工事が量産されます。


③ 工事完了前に必ず請求する

工事が終わってからの請求は、
回収率が一気に下がります。

  • 「もう終わった話」
  • 「聞いていない」

と言われやすくなるためです。

追加分は、必ず工事中に請求・合意する。
これが鉄則です。


追加工事は「交渉」ではなく「業務」

追加工事の請求に対して、
気まずさを感じる経営者・現場責任者は少なくありません。

しかし、ここで重要なのは、

追加工事の請求は
交渉ではなく、業務の一部
という認識です。

  • やった分は請求する
  • 合意した上で作業する

これは、
信頼関係を壊す行為ではありません。


追加工事を断れない構造を作らない

回収できない会社に共通する特徴があります。

  • 「今後の取引があるから言えない」
  • 「関係が悪くなるのが怖い」

しかし、無償対応が続くと、

  • 利益が出ない
  • 現場が疲弊する
  • 結果として品質が下がる

という悪循環に陥ります。

きちんと請求できる会社の方が、長期的には信頼されます。


よくある失敗例

追加工事対応でよくある失敗は次のとおりです。

  • 金額を決めずに作業する
  • 現場任せにしてしまう
  • 記録を残していない
  • 工事完了後にまとめて請求

これらはすべて、
仕組み不足が原因です。


まとめ:追加工事は「利益を守る分岐点」

建設業の収益改善において、
追加工事・仕様変更への対応は
最重要ポイントのひとつです。

  • 事前に決める
  • 記録を残す
  • 工事中に回収する

この3点を徹底するだけで、
工事別粗利は大きく改善します。