
― 利益は着工前にほぼ決まっている ―
前回は、建設業の収益改善は
工事別に粗利を見ることが出発点であると解説しました。
今回は、その粗利を左右する最大要因、
見積精度に踏み込みます。
建設業ではよく
「現場が頑張れば何とかなる」
と言われますが、実際には
見積が甘い工事は、ほぼ確実に赤字になります。
なぜ見積が甘くなりやすいのか
見積精度が上がらない理由には、共通点があります。
- 過去の見積を流用している
- 工期や工程を楽観的に見ている
- 外注費・資材高騰を織り込めていない
- 価格交渉を前提にしていない
特に多いのが、
「このくらいで終わるだろう」という感覚見積です。
この時点で、
赤字の芽はすでに埋め込まれています。
見積で必ず押さえるべき3つの視点
見積精度を上げるには、
最低限、次の3点を外してはいけません。
① 工数の見積
- 人数 × 日数
- 天候・段取り遅れの余地
- 兼務・移動時間
工数は、
実績ベースで見積ることが重要です。
② 外注費・協力会社費
- 単価の更新有無
- 繁忙期の上振れ
- 追加発生の可能性
「前回と同じ」は、
最も危険な前提条件です。
③ 予備費(バッファ)
- 仕様変更
- 追加工事
- 不測の事態
予備費を見ない見積は、
想定外に耐えられません。
見積は「最低ライン」を明確にする作業
見積は、
安く見せるための作業ではありません。
本来の役割は、
この金額を下回ると会社が成り立たないライン
を明確にすることです。
- この金額なら受注する
- ここまで下がるなら条件変更
- これ以下なら断る
この判断基準がなければ、
価格交渉の場で主導権を失います。
見積と実績を必ず比較する
見積精度を上げるために欠かせないのが、
見積と実績の差分分析です。
- 工数はどれだけズレたか
- 外注費は想定通りか
- 追加は回収できたか
この振り返りを行わない限り、
見積は一生改善しません。
重要なのは、
誰が悪かったかではなく、どこがズレたかを見ることです。
よくある失敗例
見積改善でよくある失敗は次のとおりです。
- 精度向上を個人任せにする
- 標準見積が存在しない
- 忙しさを理由に振り返らない
- 値引き前提で出してしまう
見積は、
会社のルールとして整備する必要があります。
まとめ:見積精度は最大の収益改善策
建設業において、
見積精度の向上は
- 赤字工事の削減
- 利益率の安定
- 資金繰り改善
に直結します。
現場をどれだけ改善しても、
スタート地点が間違っていれば意味がありません。
利益は着工前にほぼ決まっている。
この前提に立ち、
見積を経営判断の道具として使うことが、
建設業の収益改善を加速させます。

