
製造業は、省力化補助金の中でも 採択件数が最も多い業界 です。
一方で「省力化の定義が曖昧」「何を書けば評価される?」と悩む企業が多いのも事実。
本記事では、第1回・第2回採択結果+現場支援の知見 から、
製造業が採択されやすい“成功パターン”を体系的にまとめました。
■ 製造業が採択されやすい理由
製造業は、
- 工程が明確
- 作業時間が計測しやすい
- 自動化しやすい
- 効果が数字で出る
という特性があるため、省力化補助金との相性が最も良い業種です。
実際、採択結果においても 製造業は全体の約40%を占める傾向 があります。
■ 成功パターン①
溶接・組立の自動化(ロボット化)
▼典型的な課題
- 作業者依存(熟練工不足)
- 作業時間が長い
- 品質のバラつき
- 夜間・休日の残業増加
▼採択されやすい設備
- 協働ロボット(溶接/ハンドリング)
- 自動溶接機(ティグ・半自動)
- ロボット溶接セル
▼効果の出し方(例)
- Before:1個 30分
- After:10分
→ 年間1,200時間削減
→ 熟練工1名分の工数を確保
▼審査官が評価するポイント
- 自動化による 工数削減の根拠
- 品質安定による 不良率低下
- 職人不足への 代替効果
■ 成功パターン②
金属加工・樹脂加工の高速化(段取り時間の削減)
▼典型的な課題
- 段取り時間が長く、リードタイムが短縮できない
- 小ロット多品種の対応が負担
- 旧式設備のメンテ負担・停止リスク
▼採択されやすい設備
- NC旋盤・マシニングセンタ更新
- 自動段取りシステム
- 自動工具交換装置(ATC)
- バーフィーダー(自動素材供給)
▼効果の出し方
- Before:段取り45分
- After:10分
→ 月100時間削減
→ 年間1,000時間の生産能力確保
リードタイム短縮を 増産・粗利改善 とセットで記載すると評価が高まります。
■ 成功パターン③
検査工程の自動化(AI画像検査・計測)
省力化補助金で最も通りやすい設備のひとつが、検査の自動化。
▼典型的な課題
- 目視検査による属人化
- 検査ミスの発生
- 追加検査による残業増加
- 人手確保が困難
▼採択されやすい設備
- AI画像検査装置
- 自動寸法検査機
- 画像解析ソフト+専用カメラ
- 多箇所同時検査システム
▼効果の出し方
- Before:1個10秒 → After:2秒
- 不良率:2.5% → 1.0%
不良率の改善+工数削減 のセットは強力です。
■ 成功パターン④
梱包・箱詰めの自動化(人手作業の置き換え)
梱包工程は「人手作業の削減」がわかりやすく、補助金と相性◎。
▼典型的な課題
- 箱詰めに時間がかかる
- パート人員の確保が困難
- ピーク時の残業増加
▼採択されやすい設備
- 自動封函機
- 自動製函機
- 自動箱詰めロボット
- パレタイザー(積み付けロボット)
▼効果の例
- 時間20分 → 5分(▲75%)
- パート1名分の工数削減
- 出荷能力の安定化
特にパレタイザーは “腰痛対策”ד省力化” で評価が高い傾向があります。
■ 成功パターン⑤
食品製造ラインの自動化(衛生+省力化の両取り)
食品業は「作業標準化」「衛生管理」「温度管理」など、
補助金が評価しやすい要素が多い 業界です。
▼典型的な課題
- 手作業での混合作業
- 計量工程の属人化
- 洗浄作業の負荷
- 品質バラつき
▼採択されやすい設備
- 自動ミキサー
- 自動計量器
- 異物検査(X線・金属検査)
- 自動洗浄装置(CIP)
▼効果の出し方
- 計量時間:1回5分 → 30秒
- 人手:2名 → 1名
- 異物混入リスク低減(定性効果+定量化)
品質管理・HACCP対応は審査官ウケが良い要素です。
■ 製造業が採択される計画書の特徴(まとめ)
✔ 共通点
- Before → After が数値で明確
- 属人化の解消(誰でもできる状態)
- 人員削減ではなく“工数削減”を強調
- 効果が単一ではなく複合的(工数+不良+生産能力)
- 賃上げ要件の根拠づけが明確
- 現場の写真・工程図の添付が丁寧
✔ 特に評価されるポイント
- “自動化=省力化” の説明が一目でわかる
- 物量(件数×作業時間)の根拠がある
- 代替困難な業務を置き換える設備
- 職人不足問題に対する合理的な解決策


