
中小企業新事業進出補助金の申請支援や採択事例分析を行っていると、
不採択となる計画書には、ある共通点が見えてきます。
それは、
内容を詰めすぎて、かえって分かりにくくなっている
という点です。
「しっかり書いたほうが評価される」
「専門的に説明したほうが伝わる」
そう考えて情報を盛り込みすぎた結果、
計画全体の軸が見えなくなってしまうケースは少なくありません。
本記事では、採択事例をもとに
“深くしすぎない計画書”がなぜ通りやすいのかを解説します。
■審査員は“専門家”だが“当事者”ではない
まず前提として理解しておくべき点があります。
審査員は確かに専門家ですが、
あなたの事業の当事者ではありません。
そのため、
- 技術の細かい仕様
- 業界内でしか通じない用語
- 実務レベルの詳細な工程
これらを過度に書くと、
「分かりにくい計画」という印象を与えてしまいます。
■採択されている計画は「理解しやすさ」を優先している
採択事例を読むと、意外なほど文章はシンプルです。
- 技術説明は必要最小限
- 専門用語は補足説明付き
- 1段落1メッセージが徹底されている
重要なのは、
正確さより、誤解されないこと
です。
■内容を詰めすぎた計画が落ちやすい理由
① 事業の“核”がぼやける
情報を盛り込みすぎると、
- 何が一番の強みなのか
- 何が新事業の本質なのか
が見えなくなります。
審査員にとっては、
「結局、この会社は何をやりたいのか?」
という状態になります。
② 設備投資の必然性が薄れる
細かい説明を積み重ねるほど、
- 設備が多く見える
- 投資額が大きく感じられる
という逆効果が生じます。
採択事例では、
“これだけあれば事業が成立する” という整理ができています。
③ 読む側の負荷が増える
計画書は、
「じっくり読む論文」ではありません。
審査員が疲れた状態で読んでも、
- 要点がすぐ分かる
- 全体像が頭に残る
構成でなければ、評価されにくくなります。
■採択事例に共通する「引き算」の発想
通っている計画書では、
次のような“引き算”が行われています。
- なくても伝わる説明は削る
- 事業の核心に関係ない情報は載せない
- 専門的な話は1段落でまとめる
結果として、
読みやすい=考えが整理されている会社
という印象を与えています。
■「深くする」より「筋を通す」
採択される計画で重視されているのは、
- 情報量
- 専門性の高さ
ではありません。
重視されているのは、
- 事業の筋が通っているか
- 投資と成果の関係が一貫しているか
- 説明にブレがないか
です。
内容は、深くするより揃えることが重要です。
■計画書を仕上げるときのチェックポイント
最終確認として、次の質問に答えてみてください。
- 3分で事業内容を説明できるか
- 専門外の人でも理解できるか
- 一番伝えたい強みは1つに絞れているか
- 設備投資の理由は一文で言えるか
すべて「はい」と言える状態が、
採択事例に近い計画書です。
■まとめ:採択される計画は「引き算」でできている
中小企業新事業進出補助金の計画策定では、
書きたいことを書く
ではなく
伝わることだけを書く
という姿勢が重要です。
採択事例が示しているのは、
情報の多さではなく、整理のうまさ が評価されるという事実です。
計画書は、
自社の理解度を試される資料でもあります。


