
中小企業新事業進出補助金の採択事例を見ていくと、自動車関連業界の新事業が着実に増えています。
完成車メーカーの大きな変革(EV化・CASE化)を背景に、部品・整備・販売・サービスの周辺領域で新たな市場が生まれているためです。
本記事では、自動車関連企業がどのような新事業で採択されているのか、その代表的なパターンを紹介します。
■自動車関連業界は「変化の波」が最大の追い風
自動車業界は今、大きな転換期にあります。
- EV(電気自動車)へのシフト
- 自動運転・コネクテッド化
- 環境規制の強化
- 中古車流通の高度化
こうした変化は、従来の下請け構造に依存してきた中小企業にとってはリスクでもありますが、
同時に新市場へ進出する絶好のチャンスでもあります。
■パターン①:EV関連分野への新規参入
採択事例で増えているのが、EV関連の新事業です。
具体的には、
- EV向け部品・筐体・ケース類の製造
- 充電設備関連の部材・機器製造
- EV専用の整備・点検サービス
といった分野が見られます。
内燃機関向け部品が減少する一方で、
EVでは「新しい構成部品」「新しいメンテナンス需要」が生まれるため、
既存技術をEV向けに転用する事業が評価されやすくなっています。
■パターン②:カーケア・コーティング事業の高度化
自動車販売・整備業者による、高付加価値カーケア事業も採択が目立ちます。
例としては、
- 高耐久コーティング設備の導入
- EV・高級車向けの専門ケアサービス
- 法人フリート向けの定期メンテナンス契約
単なる洗車や簡易整備ではなく、
「車両の価値を長く保つサービス」
として位置づけることで、新市場性と収益性を同時に示すことができます。
■パターン③:中古車×付加価値サービスの新モデル
中古車市場は拡大を続けており、
採択事例では中古車販売+付加価値サービスの組み合わせが多く見られます。
- 中古車+保証・メンテナンスパック
- 中古EV専門店の立ち上げ
- 事業用車両向けリース・管理サービス
中古車そのものではなく、
「管理・安心・利便性」を商品化する発想が評価されています。
■パターン④:自動車関連×デジタルサービス
自動車関連事業に、IT・デジタル要素を組み合わせた新事業も採択されています。
- 車両管理・点検データのクラウド化
- 法人向け車両管理システム
- 整備履歴を活用したサブスクリプション型サービス
こうした事業は、
- 継続収益(ストック型)
- 顧客データの蓄積
- 高い付加価値
という点で、審査評価と相性が良いのが特徴です。
■自動車関連の採択事例に共通するポイント
① 「完成車依存」からの脱却
完成車メーカーや特定ディーラーへの依存度を下げ、
自社主導で市場を選べる事業構造を目指しています。
② EV・環境対応という“時流”を捉えている
EV・環境配慮・長寿命化など、
社会的要請と一致するテーマは評価されやすい傾向があります。
③ 設備投資が明確
整備機器、コーティング設備、検査装置など、
投資内容と事業成果の因果関係が分かりやすい計画が多く見られます。
■自動車関連企業にとっての新事業進出補助金の意味
自動車関連業界は今後も変化が続きます。
その中で生き残るためには、
- 技術転用
- サービス化
- 継続収益モデル
への転換が不可欠です。
中小企業新事業進出補助金は、
こうした業界構造の変化に対応するための投資を後押しする制度と言えるでしょう。
■まとめ:EV・サービス・付加価値がキーワード
自動車関連の採択事例を整理すると、
- EV関連は今後も有望
- カーケア・中古車は付加価値次第で差別化可能
- デジタル活用で継続収益モデルが描きやすい
という点が明確です。
自動車関連企業が次の成長を目指すうえで、
中小企業新事業進出補助金は有力な選択肢となるでしょう。


