
企業が持続的な成長を目指すうえで、社内外に明確なメッセージを発信することは欠かせません。その軸となるのが「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」です。MVVは、企業の存在意義、目指す未来、そして日々の行動基準を明文化したものであり、組織全体の方向性を定める「経営の羅針盤」と言えます。
本記事では、MVVの基本概念から作成手順、さらに実際の企業事例や浸透のコツまでを、図解とともに分かりやすく解説します。
MVVとは?|企業の軸をつくる3つの要素
要素 | 意味 | 目的 |
---|---|---|
Mission(ミッション) | 企業の存在意義 | なぜこの企業は存在するのか? |
Vision(ビジョン) | 将来の理想像 | どこを目指しているのか? |
Value(バリュー) | 行動指針 | どのように実現していくのか? |
この3つの要素は、企業活動の根幹をなすものであり、経営戦略、人材採用、企業文化、ブランディングに至るまで、あらゆる場面で一貫性をもたらします。
MVVの作り方|トップの理念 × 社員の共感
① Mission:企業の「存在理由」を明文化
企業は何のために存在するのか。その「社会的意義」を端的な言葉で表現するのがミッションです。
考えるヒント:
- 私たちは誰にどんな価値を提供したいのか?
- どんな課題を解決するために存在するのか?
例文:
「テクノロジーの力で地域社会の生活を豊かにする」
ポイント: 普遍的で理念的な言葉を、簡潔に力強く。
② Vision:目指す未来を描く
ビジョンは、中長期的な視点で組織の理想像を示します。3~10年先を想定し、社員が「共に目指したい」と思える未来像を描くことが重要です。
例文:
「地域の人々から最も信頼されるサービス企業になる」
ポイント: ワクワク感と共感を呼ぶ表現で、行動の原動力に。
③ Value:行動を導く価値観
バリューは、社員一人ひとりが日々の判断や行動の基準とする価値観です。抽象的すぎると浸透しないため、具体性を持たせることがカギです。
例文:
- 「顧客目線で行動する」
- 「変化を恐れず挑戦する」
- 「チームの力を最大限に発揮する」
ポイント: 覚えやすく、3~5個程度に絞ると現場で活かしやすくなります。
なぜMVVが必要なのか?
✔ 組織の「目的」が明確になる
社員一人ひとりが「何のために働いているのか」を理解し、意思決定に迷いがなくなります。
✔ 経営の「方向性」を共有できる
会社としてのゴールが明確になることで、組織全体が一枚岩となって動けるようになります。
✔ 組織に「一体感」が生まれる
共通の価値観を持つことで、部門を越えた連携や信頼関係の醸成にもつながります。
成功企業のMVV事例
▶ メルカリ
- ミッション:「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」
- ビジョン:「グローバルに挑戦する、日本発のテックカンパニー」
- バリュー:「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」
解説: MVVが迅速な意思決定や社員の方向性統一に貢献し、スタートアップからグローバル企業へと成長を遂げました。
▶ スターバックス
- ミッション:「人々の心を豊かで活力あるものにするひとときを提供する」
- ビジョン:「誰にとっても心地よい“サードプレイス”となる」
- バリュー:「心からのつながり」「人を尊重する」「チャレンジを歓迎する」
解説: 世界中で一貫した接客体験を実現。バリューは従業員教育に深く組み込まれています。
MVV策定ステップ(図解)
┌─────────────┐
│ 経営者の理念・想い │
└────┬────────┘
↓
Mission(存在意義)
↓
Vision(目指す未来)
↓
Value(行動基準)
↓
業務・採用・評価・文化
MVVを組織に浸透させるコツ
MVVは作って終わりではなく、いかに社内に浸透させるかが重要です。以下の施策が効果的です。
- 社内ワークショップで社員の声を反映
- 採用時にMVVとのマッチ度を確認
- 評価制度にバリューを組み込む(例:「チャレンジの回数」など)
- 朝礼や社内報で定期的に共有
- 1on1ミーティングで個人の共感度を確認
まとめ|MVVは企業経営の“羅針盤”
MVVは単なるスローガンではなく、組織全体の思考と行動の指針です。明文化と社内浸透によって、社員の自律性が高まり、変化の多い時代においても柔軟で力強い組織づくりが可能になります。
📌 一言でいうと:
「MVVとは、企業が“迷わず進む”ためのナビゲーションシステム。社員の共感と実践を得てこそ、真の力を発揮します。」
必要であれば、MVV策定や浸透を支援する外部パートナーの活用も視野に入れて、組織全体に一貫した価値観と行動指針を根付かせましょう。