
商品やサービスを販売する上で、顧客が「どうやって買う決断に至るのか」を理解することは非常に重要です。そのための基本フレームワークのひとつが、1920年代に提唱された「AIDMA(アイドマ)モデル」です。時代が変わっても、その本質は多くのマーケティング戦略で活かされています。
本記事では、AIDMAモデルの5つの心理ステップをわかりやすく解説し、それぞれに適した施策例、そして現代型モデル「AISAS」との違いまで、実務に活かせる知識を整理して紹介します。
AIDMAモデルとは?~顧客の購買心理を5段階で可視化~
AIDMAは、顧客が商品を「知る」から「買う」までの心理的変化を5段階で表現したモデルです。
🔍【図解】AIDMAの構成
ステップ | 意味 | 顧客の心理 |
---|---|---|
A | Attention | 商品を認知する |
I | Interest | 興味を持つ |
D | Desire | 欲しいと感じる |
M | Memory | 記憶に残す |
A | Action | 実際に購入する |
この順序で消費者心理が進行していくと考えられています。
各ステップの具体策とポイント
1. Attention(認知)
目的:商品やサービスの存在を知ってもらう
- 【施策例】
- SNS広告・テレビCM・YouTubeバンパー広告
- SEO対策/インフルエンサーマーケティング
- 【ポイント】
第一印象が重要。短時間で「目を引く」仕掛けが必要です。
2. Interest(関心)
目的:詳細を知りたいと感じさせる
- 【施策例】
- LP(ランディングページ)や製品紹介ページ
- FAQ、機能比較表、レビュー
- 【ポイント】
「自分ごと化」させる情報設計が鍵です。
3. Desire(欲求)
目的:使ってみたいという気持ちを生む
- 【施策例】
- 無料体験、使用シーンの提案、顧客インタビュー
- キャンペーンや限定特典の告知
- 【ポイント】
感情的訴求(楽しさ・安心感)+機能的価値の提示が効果的です。
4. Memory(記憶)
目的:購入を先延ばしにしても印象を保つ
- 【施策例】
- メールマガジン、リマーケティング広告
- SNSフォローやパーソナライズDM
- 【ポイント】
接点を継続的に設けて記憶を定着させます。
5. Action(行動)
目的:実際の購入・申し込みに導く
- 【施策例】
- 決済方法の多様化、UI/UX改善、購入後のサポート明示
- 「今だけ割引」「在庫わずか」などの緊急性訴求
- 【ポイント】
購入を迷わせない導線設計が重要です。
AIDMAとAISASの違いとは?
インターネット普及後の消費者行動は、より「検索」や「共有」へと進化しました。そこで登場したのが「AISAS(アイサス)」モデルです。
モデル | ステップ | 特徴 |
---|---|---|
AIDMA | Attention → Interest → Desire → Memory → Action | マスメディア起点、記憶重視 |
AISAS | Attention → Interest → Search → Action → Share | デジタル起点、検索と拡散重視 |
たとえば、SNSやレビューで商品を知った消費者は「検索」して詳細を調べ、購入後は「共有」する傾向が強くなっています。
実践活用:AIDMAをマーケティング戦略に落とし込む方法
1. 各ステップに合ったKPI設定
- Attention:広告のインプレッション数
- Interest:ページ遷移率、滞在時間
- Desire:資料請求、問い合わせ数
- Memory:リターゲティング広告の反応率
- Action:購入率、CVR
2. ターゲット別に施策を最適化
見込み顧客がどの段階にあるかを把握し、それに応じた施策を実施することで、マーケティング効率が大幅に向上します。
3. AISASとの併用でハイブリッド戦略を
- SNS経由やスマホ検索が多いBtoC商品:AISAS中心
- 高額商品・法人向けサービス:AIDMA中心
シーンに応じてフレームワークを使い分けましょう。
まとめ:AIDMAは今も使える「顧客心理の教科書」
AIDMAモデルは古くからある概念ながら、現代でも「顧客を理解するツール」として強力です。特に高単価・高関与の商品やサービスにおいては、各段階での心理変化を意識した戦略立案が成果につながります。
💡活用のヒント
- 自社の商品が今、どのフェーズにいるのかを明確化
- ステップごとに必要な施策とKPIを設定
- デジタルマーケティングではAISASとの併用も視野に
📊 図解:AIDMA vs AISAS の違い
フレームワーク | 特徴 | 向いているケース |
---|---|---|
AIDMA | 感情→記憶→行動 | 店舗販売・高額商材など |
AISAS | 検索→行動→共有 | デジタル商材・SNS拡散型商材 |
「消費者の心の動き」に寄り添ったマーケティングこそが、成果を生む近道です。AIDMAを取り入れ、より効果的な顧客コミュニケーションを実現しましょう。