■ はじめに:経営改善の8割は「実行フェーズ」で決まる

経営改善計画は、
作成がゴールではありません。

実務の現場では、次のような傾向がはっきりしています。


  • 計画策定だけで終わる企業 → 再建失敗
  • 月次モニタリングを回す企業 → 再建成功

405事業・早期経営改善計画で
「伴走支援(モニタリング)」が制度化されているのは、
改善の本質が“実行と修正”にあるからです。


■ 月次モニタリングとは何か?

月次モニタリングとは、

計画と実績を毎月照らし合わせ、
ズレを修正し続ける経営改善の運用プロセス

です。


月次モニタリングで扱う主な資料

項目内容
月次試算表売上・粗利・利益の実績
資金繰り表現金残高・入出金
KPI進捗行動指標の達成度
改善アクション実施・未実施の確認
課題一覧新たな問題点

月次モニタリングは
**「反省会」ではなく「経営会議」**です。


■ なぜ月次モニタリングが不可欠なのか?


理由①:ズレは必ず起きる

  • 売上の変動
  • 原価上昇
  • 人材トラブル
  • 外部環境の変化

計画通りに進むことはほぼありません。
ズレを早く見つけ、早く直すことが重要です。


理由②:経営者の意思決定スピードが上がる

毎月数字を見ることで、

  • 判断が早くなる
  • 感覚経営から脱却
  • 修正判断が的確

になります。


理由③:金融機関・協議会からの信頼が高まる

月次報告ができる企業は、
**「管理できる会社」**として評価されます。


■ 月次モニタリングの「正しい進め方(型)」


【基本構成:60〜90分】


① 事実確認(20分)

  • 実績と計画の差
  • KPI達成状況
  • 資金繰りの変化

※評価・言い訳はしない。事実のみ。


② 原因分析(20分)

  • なぜズレたのか
  • 外部要因か、内部要因か
  • 再現性はあるか

③ 対応策決定(30分)

  • 何を続けるか
  • 何を修正するか
  • 何をやめるか

※必ず「行動」と「期限」を決める。


④ 次月アクション設定(10分)

  • 担当者
  • 数値
  • 期限

モニタリングで最も重要なのは
「次に何をやるか」を決めること


■ よくある“失敗するモニタリング”


❌ 数字の読み上げで終わる

→ 改善につながらない。

❌ 反省会・説教大会になる

→ 現場が萎縮する。

❌ アクションが曖昧

→ 次月も同じ結果。

❌ 経営者が一方的

→ 組織が自走しない。


■ 成功するモニタリングの特徴


✔ 数字は“道具”として使う

✔ 原因を責めず、構造を見る

✔ 小さな修正を繰り返す

✔ 行動を数値で管理

✔ 成果を必ず共有する


成功企業ほど
「淡々と、しかし確実に」モニタリングを続けます。


■ 伴走支援(認定支援機関)の役割

認定経営革新等支援機関の役割は、
単なるアドバイザーではありません。


伴走支援の価値

  • 第三者視点での分析
  • 数字と現場の翻訳
  • 金融機関への説明支援
  • 計画修正の助言
  • 経営者の意思決定サポート

「一人で考えない経営」
これが再建成功率を高めます。


■ モニタリングでよく使うKPI例

分野KPI
売上受注件数・受注単価
粗利粗利率・外注比率
生産工数・生産性
資金現金残高・回収日数
営業見積提出数・受注率

■ 実務で多い成功事例


事例①:製造業

  • 月次で外注費をチェック
  • 内製化進捗を毎月管理
    → 粗利率が安定的に改善

事例②:建設業

  • 現場別採算を月次管理
  • 不採算現場を早期是正
    → 資金繰りが安定

事例③:サービス業

  • 稼働率と単価をKPI管理
    → 利益体質へ転換

■ 月次モニタリングがもたらす“副次効果”


✔ 社内の会話が数字中心になる

✔ 現場の改善提案が増える

✔ 経営者の孤独が減る

✔ 銀行対応がスムーズになる

✔ 経営が“予測可能”になる


■ まとめ:月次モニタリングは「経営改善の心臓部」


  • 計画は作ってからが本番
  • モニタリングがない改善は続かない
  • 毎月の小さな修正が大きな成果を生む

💬 経営改善とは
「正しい計画を、正しい頻度で、修正し続けること」。