
■ はじめに:経営改善と補助金はセットで考える時代
財務改善・粗利改善・組織改善を進めた後、
次に企業が必ず向き合うテーマが
成長のための投資
です。
しかし多くの中小企業は、
投資をしたくても次の理由で踏み出せません。
✔ 手元資金が少ない
✔ 借入余力が不安
✔ 投資の回収見込みが曖昧
✔ 銀行の理解が得られない
この課題を一気に解決するのが、
補助金×経営改善計画 の組み合わせです。
■ 経営改善と補助金は「役割」が違う
この2つは似ているようで全く別物。
◆ 経営改善計画
- 再建
- 収益改善(粗利・生産性)
- 資金繰り安定化
- 組織基盤づくり
- 金融機関との関係整理
◆ 補助金
- 設備投資
- 新規事業
- 省力化
- ICT導入
- 生産性向上
つまり、
経営改善=再建の土台づくり
補助金=成長のアクセル
という関係です。
■ 補助金を使う前に“必ず”必要な3条件
条件①:売上・粗利の改善が進んでいること
赤字のまま設備投資しても再現性が低い。
協議会・銀行も慎重になる。
条件②:投資のROI(投資対効果)が示せること
投資額と効果の論理が必要。
例:
- 生産性〇%向上
- 工数削減で人件費△万円削減
- 原価低減で粗利+○%
- 売上増加が見込める根拠
条件③:金融機関との合意形成
補助金=後払い方式
→ 橋渡し資金(つなぎ融資)が必要
■ 経営改善のフェーズ別:補助金の使い方
企業の状態に応じて、使うべき補助金は変わります。
フェーズ1:再建直後(粗利改善・月次体制ができた段階)
- 小規模事業者持続化補助金
- 省力化投資補助金(簡易案件)
目的:
- 営業強化
- 小型設備・ICT投資
- 生産性向上の第一歩
フェーズ2:収益改善が安定した段階
- ものづくり補助金
- 新事業進出補助金
目的:
- 生産性UP
- 工程改善
- 設備更新
- 新規事業立ち上げ
フェーズ3:成長軌道に乗せる段階
- JETRO、輸出支援
- 海外展開補助
- 大型省力化投資補助金
目的:
- 新市場参入
- 海外展開
- 大型投資
■ 補助金活用の成功パターン(再建支援で多い)
成功例①:製造業
- 粗利改善 → 設備投資 → 工数削減
→ 利益率が一気に改善
→ 銀行評価が向上し追加融資が可能に
成功例②:サービス業
- 不採算事業の整理
- 高粗利事業へ集中
- 補助金でシステム導入
→ 人件費比率が低下
成功例③:食品業
- HACCP対応
- 自動化設備の導入
→ 生産性向上で売上・粗利が改善
→ 新規販路開拓につながる
■ 補助金採択率を上げる「経営改善視点」の作り方
実務上、採択される企業には共通点がある。
✔ 事業目的が明確
「なぜこの設備が必要か」が論理的
✔ 現場の課題が可視化されている
工数データ、歩留まり、不良率、残業時間など
✔ 経営改善のストーリーがある
「再建の延長に投資がある」と理解される
✔ 財務状況の改善が進行
協議会のモニタリング評価がプラス
✔ 銀行が支援姿勢
つなぎ融資の前向きな意思がある
■ 補助金は“万能薬”ではない
補助金が失敗につながるケースもあります。
❌ 補助金のために事業を作る
→ 採算性が悪く、失敗しやすい
❌ 投資に対する根拠が弱い
→ ROIが出ず、負担だけ残る
❌ 現場が追いつかない
→ 運用できず“宝の持ち腐れ”
補助金を使う最大のポイントは
「経営改善の延長線にある投資かどうか」。
■ 補助金は“再建から成長への橋渡し”
経営改善計画と併用すると、次のような好循環が生まれます。
① 再建(粗利・資金繰り改善)
↓
② 経営改善計画で金融機関連携
↓
③ 補助金により設備投資
↓
④ 生産性向上・競争力UP
↓
⑤ 粗利改善 → 経営改善の定着
↓
⑥ 成長投資へステップアップ
■ 補助金活用のチェックリスト(実務向け)
□ 粗利率は改善傾向か
□ 月次決算が翌月15日以内に出ているか
□ 製品・顧客別の採算が見えるか
□ やめる事業は整理済か
□ 設備投資の効果を数値で説明できるか
□ 銀行との関係は安定しているか
□ 補助事業の実行体制があるか
7割以上チェックできれば
補助金活用の準備は整っています。
■ まとめ:補助金は「再建企業の成長ドライブ」
補助金は、
経営改善を加速させる強力なツールです。
✔ 再建後の投資を後押し
✔ 成長に必要な設備を導入
✔ 生産性・粗利率が向上
✔ 銀行評価も改善
✔ 企業の長期安定に直結
💬 補助金は使うことが目的ではない。
“会社を強くする投資を実現するためのツール”である。


