
■ はじめに:数字を見ない経営はギャンブル
多くの中小企業では、
数字を見るのが年1回「決算の時だけ」。
- どの商品が儲かっているか知らない
- 顧客別採算が出せない
- 売れているのにお金が残らない理由が不明
- 税理士任せで経営判断できない
- 銀行に説明できない
これでは改善が進むはずがありません。
一方で再建に成功する企業は、
「月次で数字を確認し、行動につなげている」
という共通点があります。
■ 月次決算とは?
簡単に言えば、
毎月、小さな決算を行い、経営状況を見える化すること。
月次決算で見る数字
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 売上 | 変動の兆候を見る |
| 粗利額・率 | 利益の源泉 |
| 販管費 | コスト管理の中心 |
| 営業利益 | 本業の成果 |
| 現金残高 | 倒産リスク管理 |
| 資金繰り | 未来資金の把握 |
| KPI | 行動結果の測定 |
月次決算の目的
“異常値を早期発見して、すぐ修正する”
これが経営改善のスピードを決めます。
■ KPI経営とは?
KPIとは、
- 結果(売上・利益)ではなく
- 原因(行動・効率)
を測る指標のことです。
KPIは「改善のハンドル」です。
KPIの例(業種別)
| 業種 | KPI例 |
|---|---|
| 製造業 | 工数、生産性、不良率、在庫回転日数 |
| 建設業 | 粗利率(現場別)、部分請求率、手戻り回数 |
| 卸売業 | 売掛回収サイト、棚卸ロス、粗利率 |
| 小売業 | 顧客単価、回転率、欠品率 |
| サービス業 | 稼働率、リピート率、顧客満足度 |
良いKPIの条件
- 数値で測れる
- 行動に直結している
- 期限が設定されている
- 現場が追える
■ 月次決算 × KPI経営 = 最強の経営改善
両者はセットで機能します。
月次決算 → 結果のモニタリング
KPI → 行動の改善
行動の改善が結果を変える
結果の変化が次の行動を示す
このサイクルが回り始めると、
企業は黒字化と成長が加速します。
■ 月次決算の導入ステップ
STEP1:月次試算表を翌月10日までに
税理士と連携してスピード重視
(遅くても15日以内)
STEP2:粗利の内訳を確認
- 顧客別
- 商品別
- 事業別
で分析
STEP3:財務会議(月次ミーティング)
- 異常値の原因を分析
- KPIと紐づけて改善策を決める
- 「次の行動」を決める
STEP4:銀行とも共有
信頼関係が構築され、必要時の支援が早い
■ KPI設計のコツ
✔ 売上はKPIではない
売上は結果であり、
上げる行動(原因)をKPIに置く。
✔ 現場がコントロールできる指標に
たとえば製造業では
- 加工時間
- 段取り数
- 不良件数
など
✔ 週次管理も有効
1週間でズレが分かるので修正が速い。
■ 失敗する企業の共通点
数字を「聞く・見る」だけで終わる企業は、改善が進まない。
❌ 会議で数字を見るだけ
→ 行動計画につながらない
❌ 計画と実績がずれても放置
→ 何も変わらない
❌ KPIが多すぎて管理負担が増大
→ 現場が疲弊
大切なのは「改善サイクルの継続」です。
■ 成功事例(現場で多いパターン)
事例①:金属加工業
- 粗利管理と工数管理導入
- 外注比率削減
→ 粗利率15% → 28%へ改善
事例②:建設業
- 月次決算の早期化
- 現場別粗利管理
→ 年内黒字化に成功
事例③:サービス業
- 稼働率と顧客単価をKPI化
→ 利益が右肩上がりに改善
■ 月次決算は“銀行が最も見ている指標”
銀行はこう考えています。
✔ 月次ができない企業は、改善もできない
✔ 月次ができる企業は、信頼して支援できる
405事業の伴走支援でも
月次モニタリングが義務になっているのは
このためです。
■ まとめ:数字を味方にする企業は強い
月次決算とKPI経営は、
再建から成長へ進むロードマップの中核です。
✔ 月次で数字を確認
✔ KPIで行動を管理
✔ すぐ改善につなげる
✔ 銀行への信頼向上
💬 経営を強くするのは「数字を見て行動する習慣」です。
月次とKPIが、その習慣を作ります。


