
■はじめに
補助金を申請する際、多くの経営者が同じような疑問を抱えています。
「うちの会社でも申請できるの?」「いつお金が入るの?」「どんな書類が必要?」
こうした疑問を事前に解消しておくことで、
申請の準備スピードと採択率が大きく変わります。
この記事では、補助金の申請を検討している企業から特によく寄せられる質問を、
Q&A形式で10項目にまとめて解説します。
Q1. 補助金と助成金は何が違うの?
補助金は**「事業計画に基づく投資支援」、
助成金は「雇用・人材・環境などの取り組み支援」**です。
| 項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 設備投資・新事業支援 | 雇用・人材育成 |
| 審査の有無 | あり(競争あり) | なし(条件を満たせば支給) |
| 支給時期 | 事後精算(後払い) | 条件達成後に支給 |
| 主な機関 | 経済産業省・中小企業庁など | 厚生労働省など |
🔎 Point
補助金は“採択制”で、審査に通る必要があります。
「申請すれば必ずもらえる」わけではありません。
Q2. 赤字企業でも補助金は申請できますか?
はい、赤字企業でも申請可能です。
補助金の目的は「経営改善・再建支援」なので、
赤字企業が採択されるケースも多数あります。
ただし、「改善の見通し」が示されていないと不利になります。
経営改善計画や資金繰り計画を添付し、
「赤字をどう解消するか」を明示することが大切です。
Q3. 補助金はいくらもらえるの?
補助金の上限額・補助率は制度によって異なります。
※詳細は各補助金のホームページにてご確認ください。
| 補助金名 | 上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| ものづくり補助金 | 最大1,250万円 | 1/2〜2/3 |
| 省力化投資補助金 | 最大10,000万円 | 1/2 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 最大250万円 | 2/3 |
| 新事業進出補助金 | 最大9,000万円 | 1/2 |
🔎 Point
「経費の一部が補助される」仕組みです。
全額補助ではない点に注意しましょう。
Q4. 採択されるまでどのくらい時間がかかりますか?
公募締切から採択結果発表まで約1〜2か月が一般的です。
さらにその後、交付決定や実績報告を経て入金されるまで、
半年〜1年程度かかるケースが多いです。
📅 全体の流れ(例)
申請 → 採択発表(2か月) → 交付決定(1か月)
→ 設備導入(3〜6か月) → 実績報告 → 補助金入金(1〜3か月)
Q5. 採択されやすい会社の特徴は?
採択される会社には共通点があります。
💡採択企業の特徴
- 課題が明確に整理されている
- 効果が数値で説明されている(売上・生産性・利益など)
- 実現可能なスケジュールが設定されている
- 書類の整合性(見積・計画・財務)が取れている
🔎 Point
“文章力”よりも“論理性”。
「なぜこの事業が必要なのか」を数字と根拠で語れるかが勝負です。
Q6. 補助金の申請は誰でもできますか?
法人・個人事業主を問わず申請可能ですが、
補助金ごとに対象条件があります。
例)
- 小規模事業者持続化補助金:従業員5〜20名以下
- 省力化投資補助金:中小企業基本法に基づく中小企業
- 新事業進出補助金:新分野進出・業種転換の取り組みが対象
🔎 Point
「うちは対象外かも…」と思っても、認定支援機関に相談すれば
適した補助金を紹介してもらえるケースも多いです。
Q7. 補助金の対象にならない経費は?
以下のような経費は原則として対象外です。
| 項目 | 理由 |
|---|---|
| 車両・不動産 | 私的利用の可能性があるため |
| 人件費・交際費 | 継続的支出であり一時的投資ではない |
| 在庫・原材料 | 仕入れは対象外 |
| リース費用 | 原則対象外(購入のみ対象) |
🔎 Point
「設備」「システム」「広告」「専門家費用」など、
投資性の高い支出が対象になりやすいです。
Q8. 不採択になった場合、再申請できますか?
はい、再申請は可能です。
不採択理由を分析し、改善した上で次回の公募に再チャレンジしましょう。
💬改善のポイント
- 審査項目を再確認
- 数値根拠を明確化
- 取組内容を“より具体的に”書く
同じ事業内容でも、再申請で採択される例は非常に多いです。
Q9. 採択後に内容を変更しても大丈夫?
原則として変更は事前承認が必要です。
設備の型番や導入時期、事業内容を変える場合は、
「変更申請書」を提出し、事務局の許可を得なければなりません。
🔎 Point
事後報告はNG。
**“変更=再審査”**と考え、早めに相談しましょう。
Q10. 補助金は税金の対象になりますか?
はい。
補助金で得た金額は**「雑収入」として課税対象**になります。
ただし、補助金で購入した設備は減価償却費として経費計上できるため、
実際の税負担は抑えられます。
💡会計処理の例
補助金受領 → 雑収入(益金)
設備購入 → 減価償却費(損金)
🔎 Point
税務処理を誤ると後で追徴課税されるリスクがあります。
会計士・税理士と連携して処理しましょう。
■まとめ
補助金は、正しい知識と準備があれば“誰でも挑戦できる制度”です。
- まずは対象条件とスケジュールを確認
- 次に効果を数字で説明できる計画書を作成
- 不採択でもあきらめずに再挑戦と改善を
「補助金を取る会社」は特別ではありません。
正しい手順と準備をした会社が、チャンスを確実に掴んでいるのです。


