産地連携支援緊急対策事業では、

  • 国産原材料の安定調達
  • 食品原材料の供給リスク軽減
  • 産地との実働連携

が重要とされています。

しかし審査の視点は、それだけではありません。

本補助金が本質的に支援したいのは、

産地・地域に利益が循環する構造

を持つ取り組みです。

したがって、
申請書の「地域課題」の書き方が評価を大きく左右します。


地域課題とは|「地域困りごとを変える力」の提示

地域課題の意味は、

産地側が抱える具体的な問題を
事業がどのように解決するかの説明

です。

よくある誤解:

  • 地域の魅力PRを書けばよい
  • 一般論として地域課題を書いておけば問題ない

これでは 評価ゼロ です。


採択事例に共通する地域課題の構造

採択事例を分析すると、
以下の4点が一貫しています。

評価される視点説明内容の例
経済性規格外品の処分費負担が大きい
労働力生産者の後継者不足・省力化ニーズ
ESG視点フードロス削減・輸送距離縮減
市場性地場品が価格競争に晒されている

これらを 定量的に示せているか がポイントです。


実際の採択事例(R4・R5)の説明要素

採択事例では必ず、

  • 出荷量の推移
  • 規格外品発生率
  • 生産者所得の課題
  • 地場原料の販路不足

が整理されています。

また課題の原因と影響 が書かれています。

例)

原因:加工処理能力不足
影響:規格外品が低価格で流通し所得改善につながらない

これが 審査が判断できる最低限の情報 です。


採択される書き方(型)

次の型が最も評価が高いです。

  1. 地域課題(事実と数値)
  2. その原因(構造)
  3. 解決策(事業による改善)
  4. 地域への効果(定量)

例)

  1. 規格外品比率〇%、年間〇トン発生
  2. 選別・加工能力が不足し廃棄コスト増
  3. 新ライン構築により〇%削減
  4. 生産者所得〇%向上、取扱量〇トン増加

これだけで審査への説得力は一気に高まります。


採択に不利なNG例

  • 抽象的(「地域を元気にする」「活性化」)
  • 課題が自社都合のみ
  • 産地側のメリットが不明
  • 数値なし(定性的な印象だけ)

審査側は、

「結局、地域に何が良いのか」

が確認できないと不採択にします。


産地側のメリットが最重要

申請者目線(自社利益)だけではなく、

生産者・漁業者にとって:

  • 所得向上
  • 出荷安定
  • 規格外品の活用
  • 単価上昇
  • 雇用維持

こうした 継続的な価値 が不可欠です。

農政の補助金なので、

生産者メリットが弱い=構造転換していない

と判断されます。


設備投資前提ならではの視点

地域課題説明は 設備とセット が最も強いです。

  • 処理能力不足 → 設備投資
  • 物流・保冷不足 → 倉庫投資
  • 梱包問題 → 包装設備投資

ここに因果があるか が採択を左右します。


まとめ

地域課題の記載で最も重要なのは、

  • 誰が困っているのか
  • 何がどれくらい問題なのか
  • 事業がどう解決するのか
  • 地域にどんな改善が起こるのか

定量的に論理接続できているか です。

単なる問題提起ではなく
課題解決のシナリオ が求められます。