令和6年度の補正予算「産地連携推進緊急対策事業」は、食品製造事業者に対し、国産原材料の調達を安定化させる取り組みを支援する制度です。
この事業の目的は、食品産業全体のサプライチェーンを強化し、持続可能な形で国産原材料の取扱量を増加させることです。
特に、産地と連携した取り組みに重点を置いています。

支援対象となる事業者

本事業の支援対象は、食品の加工や製造を行う事業者、またはそれらの事業者と連携して事業を進める者です。
支援を受けるには、産地と連携し、国産原材料を増加させるための調達計画を策定する必要があります。

産地支援の具体的な取り組み

事業者が産地と連携して行う具体的な支援活動には、以下のようなものがあります。

  1. 種苗の提供:求める品種を産地で生産してもらうための種苗提供。
  2. 収穫機械の貸与:産地の収穫量を増加させるため、収穫機械を貸し出す。
  3. 選別機の貸与:産地が加工ニーズに適した原材料を出荷できるよう、選別機を提供。
  4. 栽培技術指導:事業者の社員や専門家を派遣し、産地での生産作業を補助したり、栽培技術を指導したりする。

これらの取り組みを通じて、産地が食品製造事業者のニーズに合った原材料を安定的に供給できる体制が整えられます。

国産原材料の取扱量増加を目指す取り組み

事業者は、産地との連携を強化するだけでなく、国産原材料の取扱量を増加させるためのさまざまな取り組みも支援されます。主な支援対象となる活動には次のものがあります。

  1. 製造ライン機器の導入・増設:新商品の製造に必要な機器の導入や製造ラインの変更・増設にかかる費用。
  2. 新商品開発費用:国産原材料を使用した新商品の試作や開発にかかる費用(開発機器、試作原材料、PR費用、包装資材費など)。

これらの取り組みにより、食品製造事業者は国産原材料を使った新商品を市場に投入し、消費者に向けて国産品の魅力を発信することができます。

補助金の公募概要

この事業の補助金は、総額4,321百万円が設定されています。公募開始は2025年3月中旬を予定しており、補助金の申請は審査を経て支給されます。

  • 補助率:補助率は1/2以内
  • 補助金上限額:1事業者あたり最大2億円(下限100万円)。産地支援を行う場合は最大3億円となります。
  • 補助対象経費:産地支援に必要な機器・設備購入費、消耗品費、外注費、専門家費用、旅費などが対象です。

応募に際しては、事業計画をしっかりと準備することが求められます。また、全ての応募者が補助対象となるわけではなく、審査によって支援対象事業者が選ばれます。

支援対象経費

補助対象となる経費には、産地支援に関連するものと食品製造事業者の取り組みに関連するものがあります。具体的には、以下の項目が対象です。

産地支援に係る経費
  1. 機械・設備費:産地で使用する機械や設備の購入、制作費。
  2. 消耗品費:事業のために使用される消耗品費用(他用途に流用できないものに限る)。
  3. 備品費:事業に必要な備品の購入費用(汎用機器は対象外)。
  4. 謝金:専門家や篤農家への謝金。
  5. 旅費:産地への派遣にかかる交通費や宿泊費。
  6. 外注費:栽培技術指導や認証取得などの外部委託にかかる費用。
食品製造事業者の取り組みに係る経費
  1. 機械装置・システム構築費:補助事業のために必要な機械装置やシステムの購入・構築費用。
  2. 技術導入費:新技術や知的財産権の導入にかかる経費。
  3. 専門家経費:事業遂行に必要な専門家に支払う経費。
  4. 運搬費:物流や宅配費用。
  5. 調査費:新商品開発時のマーケット調査費。
  6. 外注費:加工や設計・検査の外部委託費用。
  7. 広告宣伝・販売促進費:新商品やサービスのPRにかかる費用(展示会やセミナー費用など)。
  8. 包装資材費:包装資材の更新に必要な費用。
  9. 原材料費:新商品開発に使用する原材料費。

まとめ

令和6年度の「産地連携推進緊急対策事業」は、食品製造事業者が産地との連携を強化し、国産原材料の調達量を増加させることを支援する取り組みです。
この事業は、食品産業の持続可能性を高め、安定的な供給体制を構築することを目的としています。
補助金の申請に際しては、審査を経て採択された事業者に対して支援が行われるため、事業計画をしっかりと準備することが重要です。この機会を活用して、持続可能な食品供給を実現しましょう。