2024年5月17日より、農林水産省は「食品原材料調達リスク軽減対策事業」の第二次公募を実施していました。
2025年も持続的な食料システム確立緊急対策事業に名称は変わりますが同じような趣旨での公募を行ことが決定されています。
去年の事例を通してこの補助金を紹介します。
この事業は、食品製造業者などが直面している原材料調達リスクを軽減し、安定的な供給体制を確立するための支援を行うことを目的としています。特に、産地との連携強化や原材料調達先の多角化を促進し、フードサプライチェーン全体の強化を目指しています。この事業により、最大で5億円の補助金が提供されることから、事業者にとっては大きな支援となるでしょう。
1. 事業の目的と背景
近年、国際的な食料需要の増加や為替の変動に伴い、輸入原材料の調達がリスクにさらされています。特に、地政学的な影響や自然災害、価格の急騰など、さまざまな要因が食品業界に大きな影響を与えています。これにより、食品製造業者は安定した原材料の供給に関する課題を抱えるようになりました。
そのため、農林水産省はこの問題に対処するため、食品製造事業者が原材料を安定的に確保できるよう支援するための補助事業を設けました。この事業では、産地との連携を強化し、調達先の多様化を進めることを重視しており、リスクを最小限に抑えつつ、サプライチェーン全体の強化を図ります。
2. 補助対象となる事業者
この事業に応募するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 輸入食品原材料を使用していること
補助対象となるのは、輸入食品原材料を使用している食品製造業者や飲食店などです。ただし、国産原材料のみを使用している事業者は対象外となります。 - 原材料価格が20%以上高騰していること
使用している輸入食品原材料が、対象年度と比べて20%以上価格が上昇していることが求められます。特に、必須の食品原材料(小麦、大豆、パーム油など)については、特別な証明なしに申請できます。 - 地政学的リスクなどで輸入に支障があったこと
2022年2月以降、地政学的な影響やその他の要因で輸入が困難になった実績がある事業者が対象です。
3. 支援内容
この事業では、事業者が原材料調達リスクを軽減するために取り組むべき2つの支援があります。
3.1 産地との連携強化支援
食品製造業者と産地が連携し、安定した原材料の供給を確保するための支援が行われます。支援内容には、以下のような費用が含まれます。
- 産地との連携に必要な種苗や設備購入費用
- 生産作業や栽培技術の指導費用
- 産地との連携に向けた機器や設備導入費用
これらの支援は、食品業界全体のサプライチェーンの持続可能性を高めることを目的としています。
3.2 原材料調達先の多角化支援
また、原材料調達先の多角化を進めるための支援も行われます。これにより、供給リスクを軽減し、安定した供給体制を築くことができます。具体的には、以下の取り組みが支援対象となります。
- 新たな調達先の開拓に向けた機器や設備の導入・更新
- 新商品の開発、製造、販売、PR活動にかかる費用
これらを通じて、事業者はリスクに強い供給網を構築することができます。
4. 支援対象となる活動
事業者が取り組むべき支援対象活動は、以下の通りです。
- 食品表示変更に伴う包装資材の更新費用
- 新商品開発に伴う機器導入費用
- 試作品製造時の原材料や機械費用
- 新商品PR活動にかかる費用
これらの活動は、企業が新たな取り組みを進めるうえで必要となる費用を支援してもらうことができます。
5. 補助金の申請期間と額
第二次公募の期間は2024年5月17日から2024年6月28日までです。応募者はこの期間内に申請を行う必要があります。
補助金の補助率は最大1/2以内となっており、事業者が負担する費用の半分を補助することができます。補助金の上限額は1件あたり最大5億円ですが、事業内容や企業規模により異なるため、詳細は公募要領を確認する必要があります。最低でも100万円の補助金が支給されるため、規模に関係なく多くの事業者が利用できる事業です。
6. 最後に
「食品原材料調達リスク軽減対策事業」は、食品業界における調達リスクを軽減し、安定した供給体制を構築するための重要な支援策です。近年の国際的なリスクや価格高騰に対応するため、事業者が早期に申請し、この補助金を活用することは、事業の安定化に大きな助けとなります。
この事業を通じて、事業者は原材料調達のリスクを軽減し、より強固なサプライチェーンを築くことが可能となります。興味のある事業者は、公募要領を早めに確認し、必要な準備を進めることをおすすめします。
申請を検討される方は、2月までに事業計画や見積書を入手してください。