
―「置き場管理」から脱却し、現場生産性を引き上げた投資判断 ―
製造業において、在庫管理は後回しにされがちなテーマです。
しかし実際には、
- 探す時間
- 移動する時間
- 数え直す時間
といった見えにくいムダが、現場の生産性を大きく下げています。
本記事では、自動倉庫の導入によって入出庫作業を省力化し、現場全体の効率を引き上げた製造業の事例をもとに、一般型で評価されたポイントを整理します。
1.導入前の課題|在庫はあるのに「使えない現場」
この事業者は、多品種少量の部品を扱う製造業です。
材料・仕掛品・完成品が倉庫と工場内に点在しており、次のような課題を抱えていました。
- 在庫の保管場所が属人的
- 必要な部品を探すのに時間がかかる
- 入出庫記録が手書き・後追い入力
- 数量差異が頻発し、作り直しが発生
結果として、
「在庫はあるのに、すぐに使えない」状態
が常態化していました。
2.省力化の視点|在庫は“管理”ではなく“工程の一部”
この事業者が最初に行ったのは、
在庫を「保管物」ではなく、生産工程の一部として捉え直すことです。
分析すると、
- 工程待ち時間の多くが在庫起因
- 探す・取りに行く作業が頻発
- 作業者が判断しないと動かない仕組み
という実態が見えてきました。
つまり問題は、
人が在庫を覚えて管理していること
そのものにありました。
3.導入した投資内容|自動倉庫による入出庫の標準化
この事業者が導入したのは、
自動倉庫と在庫管理システムを組み合わせた省力化投資です。
構成としては、
- 部品・製品を自動で保管・払い出し
- ロケーションをシステムで一元管理
- 生産指示と連動した自動出庫
- 入出庫データをリアルタイム反映
といった形で、在庫を「仕組みで動かす」状態を実現しています。
一般型で評価されやすい理由は、
- 人手に頼らない管理体制
- ミス削減と省力化の両立
- 生産性向上との因果関係が明確
な点にあります。
4.導入後の効果|在庫が“足を引っ張らない”現場へ
自動倉庫導入後、次のような効果が現れました。
- 入出庫作業人員の削減
- 探索時間のほぼゼロ化
- 在庫差異の解消
- 工程間の待ち時間短縮
- 現場作業者が加工・組立に集中
特に重要なのは、
在庫がボトルネックではなくなったこと
です。
省力化によって、
現場全体の流れがスムーズになり、
実質的な生産能力が向上しています。
5.なぜこの事例は採択されたのか
この事例が評価された理由は、次の3点です。
① 在庫問題を経営課題として整理
在庫ミス=生産遅延・ムダ作業
という構造を明確化。
② 投資効果が工程改善に直結
単なる保管効率ではなく、生産性向上を説明。
③ 人に依存しない仕組みづくり
属人管理から脱却した点が高評価。
6.製造業が学ぶべきポイント
この事例から学べるポイントは明確です。
- 在庫は「管理」ではなく「工程」と考える
- 探す・数える作業は最大のムダ
- 省力化は現場の流れを止めない投資
一般型では、
間接作業の省力化こそ評価されやすい
傾向があります。


