
産地連携支援緊急対策事業は、
最大 2億円/補助率1/2 の大型補助金です。
審査では、設備投資の規模感が大きい分、
「投資効果に合理性があるか?」
「返済・資金繰りの見通しは立つか?」
が非常に厳しく見られます。
本記事では、採択事例に共通する
資金計画と収益改善の説明ポイント をまとめます。
審査で最重要なのは「利益が増える根拠」
設備投資の目的は、
- 国産原材料比率の向上
- 地域連携の強化
ですが、それによって最終的に
収益が改善すること
が論理的に説明できる必要があります。
審査側が見たい観点は次の2つです。
- 売上は増えるのか
- 利益率は改善するのか
この2点が定量的に説明されていれば高評価です。
採択事例に共通する資金計画の書き方
評価される計画には、次が必ず整理されています。
1. 投資前後の損益インパクトを分けて提示
悪い例
年間売上が多少伸びる見込みです
→ 審査側は判断できない
良い例
| 指標 | Before | After | 改善効果 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1.0億円 | 1.3億円 | +0.3億円 |
| 粗利率 | 18% | 23% | +5pt |
| 営業利益 | 600万円 | 1,200万円 | +600万円 |
1枚で改善を判断できる資料が必須 です。
2. 売上増加の因果が設備と紐づいている
採択事例では、
- 新商品創出
- 既存ラインの能力向上
- 歩留まり改善
- 廃棄減少
といった 設備投資が売上に直結する経路 が示されています。
審査側が嫌うのは、
売上が伸びる理由が営業努力や運任せ
になってしまう説明です。
3. キャッシュフローが健全に回る設計
最大2億円投資の補助金では、
手元資金が枯渇するリスク
に敏感です。
採択事例では、
- つなぎ資金の確保(融資等)
- 類似設備の施工期間の見積
- 支払スケジュールの精査
が、交付申請を見据えて 整理されています。
審査が安心する説明例(構造)
結論 → 根拠 → 数値
の順が最も伝わりやすいです。
例)
結論:労務生産性向上により、営業利益は倍増する
根拠:工数削減+不良削減+歩留まり改善
数値:工程別に年間〇万円改善
この「三段構成」が
最も評価に直結します。
実務でやりがちなNG例
- 設備投資の全額が売上増になる説明
- 減価償却費を考慮しない利益計算
- 稼働率が不自然に高い想定
- 費用増(人件費・電力)を見落とす
- 売上目標だけ野心的
審査は経験豊富な専門家が担当するため、
過剰な楽観シナリオは即座に見抜かれます。
銀行が評価する視点も踏まえておくべき
多くの場合、金融機関との連携が求められます。
銀行が確認したいのは、
- 設備投資の回収見込み
- 過度な債務増加がないか
- 手元資金の健全性
つまり、
補助金+融資セットで成立する資金計画
が求められます。
まとめ
採択される資金計画・収益改善説明には、
- Before / Afterを定量化
- 設備投資が利益改善の“原因”
- キャッシュフローに無理がない
- 銀行(資金調達)目線も反映
という条件が揃っています。
審査側は、
設備投資の目的(調達構造転換)
だけでなく、
産地連携による国産原材料の増加及び経営改善ストーリー
を見ています。


