
産地連携支援緊急対策事業や、
その前身である食品原材料調達リスク軽減対策事業を検討していると、
- 「この設備はなぜ補助対象になったのか」
- 「どこまでの設備投資が評価されるのか」
- 「金額の妥当性はどう見られているのか」
といった疑問を持つ方が多くいらっしゃいます。
本記事では、
R4・R5の採択事例をもとに、
“評価された設備投資”の共通点 を整理します。
前提:評価されているのは「設備」そのものではない
まず大前提として押さえておきたいのは、
この補助金で評価されているのは
設備の性能や新しさではない という点です。
採択事例を見ていくと、
- 高額な設備だから評価された
- 最新鋭の機械だから通った
というケースはほとんどありません。
評価されているのは、
調達構造を変えるために、その設備が不可欠かどうか
という一点です。
評価された設備投資の共通点①
国産原材料を扱うために「必要不可欠」だった
R4・R5の採択事例では、
- 輸入原料を前提にした既存設備では対応できない
- 国産原料特有のサイズ・水分量・ばらつきに対応する必要がある
といった理由から、
設備更新やライン新設が必然だった ことが明確に示されています。
単なる能力増強ではなく、
「国産原材料を安定して処理するために、この設備が必要」
という因果関係が整理されています。
評価された設備投資の共通点②
設備能力と原材料取扱量が結びついている
採択事例では、
- 年間処理能力
- 原材料の想定取扱量
- 稼働日数・稼働率
が、設備仕様とセットで説明されています。
たとえば、
- この設備を導入することで
年間〇トンの国産原材料が新たに処理可能になる - その結果、国産原材料の取扱量が〇%増加する
といった 数量ベースの説明 が入っています。
評価された設備投資の共通点③
設備投資が事業計画の中に自然に組み込まれている
評価された事例では、
- 調達 → 加工 → 製品化 → 販売
という事業全体の流れの中に、
設備投資が 無理なく組み込まれています。
逆に、
- 設備の説明がやたら詳しい
- 事業の説明より設備が前に出ている
計画は、
R4・R5でも評価されにくい傾向がありました。
評価された設備投資の共通点④
金額の妥当性が説明できている
R4・R5の採択事例では、
- 設備の選定理由
- 他方式との比較
- 金額が過大でない理由
が、簡潔でもよいので整理されています。
重要なのは、
- 最安であること
ではなく - 事業規模・効果に見合っていること
です。
過剰な設備仕様や、
効果に対して明らかに大きすぎる投資は、
評価されにくくなります。
評価されにくい設備投資の典型例
一方で、R4・R5で評価されにくかった設備投資には、
共通する特徴があります。
- 老朽化対策が主目的
- 生産性向上だけを前面に出している
- 原材料調達との関係が弱い
- 設備更新ありきで構想が組まれている
こうした計画では、
「なぜこの補助金である必要があるのか」
という問いに答えきれていません。
R8公募を見据えた設備投資の考え方
R8年3月頃と見込まれる次回公募でも、
- 国産原材料の安定調達
- 産地との連携
- 調達構造の転換
という軸は変わらないと考えられます。
設備投資を検討する際は、
- どの原材料の
- どのリスクを
- どう解消するための設備なのか
を先に整理し、
設備はその結果として検討する ことが重要です。
まとめ
R4・R5の採択事例から見える、
評価された設備投資の共通点は次のとおりです。
- 国産原材料対応のために不可欠だった
- 設備能力と取扱量が結びついている
- 事業計画の中に自然に組み込まれている
- 金額の妥当性が説明できている
設備投資の規模ではなく、
構想との整合性 が評価を分けています。

