
第1回公募では、「人手不足という課題に対して、省力化投資をどう位置づけているか」が強く問われました。
第2回公募では、その考え方を前提としたうえで、一段踏み込んだ視点が見られるようになります。
本記事では、第2回公募の採択結果を俯瞰しながら、
- 第1回と比べて何が変わったのか
- 審査側がより重視し始めたポイントは何か
- これから申請する事業者が意識すべき点
を、事業者目線で整理します。
1.第2回公募で変わった全体像
第2回公募でも、採択の中心は引き続き製造業・建設業です。
一方で、第1回と比較すると、採択事例の内容に明確な変化が見られます。
それは、
「省力化の説明が、より経営寄りになっている」
という点です。
第1回では、
- 作業時間の削減
- 人員削減
- 工程短縮
といった説明が中心でした。
第2回ではそこに加えて、
- 売上拡大へのつながり
- 付加価値向上の根拠
- 人材再配置の具体像
まで踏み込んだ計画が増えています。
2.「省力化=効率化」から「省力化=経営改善」へ
第2回の採択事例を読むと、省力化の位置づけが明確に変わっています。
単に
「人が足りないから機械を入れる」
ではなく、
- なぜ今のやり方では限界なのか
- 省力化によって、どの制約を外したいのか
- 制約が外れた結果、何を実現したいのか
という経営ストーリーが語られています。
例えば、
- 生産能力の上限を引き上げる
- 多品種・短納期対応を可能にする
- 熟練者に依存しない体制をつくる
といったように、省力化を「次の成長の前提条件」として扱っている点が特徴です。
3.DX・システム導入型の評価が明確に上昇
第2回公募では、設備投資に加えて、
- 販売管理
- 生産管理
- 工数管理
- 在庫管理
など、業務プロセス全体を見直すDX型の投資が目立つようになりました。
ここで評価されているのは、ITそのものではありません。
評価されているのは、
- 人が判断していた業務を仕組みに落とす
- 属人化していた管理業務を可視化する
- 現場と管理をデータでつなぐ
といった、**「人が介在しなくても回る仕組みづくり」**です。
設備投資とシステム投資を組み合わせ、
省力化を“部分最適”で終わらせていない計画が評価されています。
4.第2回採択企業に共通する3つの特徴
第2回公募の採択事例を整理すると、次の3点がより明確になっています。
① 投資前後の「変化」が具体的に描かれている
第2回では、
- 投資前:どこにどれだけ人がかかっていたか
- 投資後:何がどう変わるのか
が、より具体的に説明されています。
単なる「効率化します」ではなく、
どの作業が、どの程度軽減されるのかが見える計画が評価されています。
② 省力化で生まれた余力の使い道が明確
第1回でも重要だったポイントですが、第2回ではより厳しく見られている印象です。
- 浮いた人手をどこに回すのか
- どの業務に集中させるのか
- それによって何が変わるのか
が説明されていない計画は、評価されにくくなっています。
省力化後の「次の一手」まで描けているかが大きな分かれ目です。
③ 設備・システムが「経営課題」に直結している
第2回の採択事例では、
- 納期遅延
- 品質ばらつき
- 受注制限
- 管理負荷の増大
といった経営課題と、省力化投資が明確に結び付けられています。
設備説明よりも、
経営課題の説明にページを割いている計画が多い点が特徴です。
5.第1回との比較から見える「審査視点の進化」
第1回と第2回を比較すると、審査視点は次のように進化しています。
- 第1回:
→ 「省力化になっているか」 - 第2回:
→ 「省力化が経営改善につながっているか」
つまり、
省力化そのものは“前提条件”になりつつある
ということです。
これから申請する事業者は、
「省力化します」という説明だけでは不十分だと考える必要があります。
6.これから申請する事業者への示唆
第2回公募の採択結果から、これから申請する事業者が意識すべきポイントは次の3点です。
- 省力化の結果、どの制約が外れるのか
- その制約が外れることで、何が可能になるのか
- それが経営数字にどう影響するのか
これらを一本のストーリーとして説明できるかどうかが、
今後の採択可否を大きく左右します。

