■ はじめに:金融機関対応で再建は9割決まる

経営改善が進まない企業の多くは、
金融機関との関係がこじれているという共通点があります。

  • 報告が遅い
  • 悪い情報を隠す
  • 質問に即答できない
  • 数字が整理されていない
  • 場当たり的な説明

一方、再建に成功する企業は
金融機関を「交渉相手」ではなく「情報共有の相手」
として位置づけています。


■ 金融機関が最も重視する3つの視点

銀行が見ているのは、次の3点です。


① 返済能力(キャッシュフロー)

利益よりも「返せるか」。

  • 資金繰りは安定しているか
  • 将来の資金不足は予測できているか
  • 返済条件は現実的か

② 管理能力(月次管理)

  • 月次試算表が出ているか
  • 資金繰り表が更新されているか
  • 数字を理解して説明できるか

③ 経営者の姿勢(誠実さ)

  • 悪い情報を早く共有するか
  • 事実を隠さないか
  • 計画を守ろうとするか
  • 修正時に相談できるか

銀行は「完璧な会社」を求めていない。
**「管理できる会社」**を求めている。


■ 金融機関対応の基本原則(5原則)


原則①:悪い情報ほど早く出す

  • 売上未達
  • 原価上昇
  • 受注減少
  • 資金不足の兆候

事後報告は信頼を大きく損ないます。


原則②:感情ではなく事実で話す

  • 「厳しい」ではなく「▲300万円不足」
  • 「頑張る」ではなく「3つの改善策」

銀行は感情論では動きません。


原則③:数字はシンプルに

  • 月次試算表
  • 資金繰り表
  • KPI進捗

3点セットで十分です。


原則④:言い訳をしない

外部環境のせいにせず、
「自社で何をするか」を伝える。


原則⑤:必ず“次の一手”を示す

  • 修正案
  • 追加施策
  • 見直しスケジュール

■ 銀行面談での“正しい話し方(型)”


【基本構成(30〜60分)】


① 現状報告(10分)

  • 実績 vs 計画
  • 良い点・悪い点

② 課題整理(10分)

  • ズレの原因
  • 一過性か構造か

③ 対応策(15分)

  • すでに実行中の改善
  • 今後の追加策

④ 資金見通し(10分)

  • 今後6ヶ月の資金繰り
  • 借入・返済の見通し

⑤ 依頼事項(5分)

  • 返済条件の調整
  • つなぎ融資
  • 見守り要請

「お願い」ではなく
**「状況共有と相談」**として話すことが重要。


■ 返済条件変更(リスケ)の正しい考え方

リスケは「失敗」ではありません。


✔ 再建のための正式な手続き

✔ 協議会も前提として支援

✔ 銀行も合理的に判断


NG対応

  • ギリギリまで相談しない
  • 遅延後に連絡
  • 根拠のない楽観計画

OK対応

  • 3〜6ヶ月前に相談
  • 資金繰り表を提示
  • 改善計画をセットで提出

■ よくある「信頼を失う行動」


❌ 数字が毎回違う

❌ 説明が長く要点が不明

❌ 計画未達を放置

❌ 連絡が遅い

❌ 銀行を責める


■ 信頼が回復する企業の共通点


✔ 月次で報告できる

✔ 資金繰りを把握している

✔ 課題を隠さない

✔ 改善を継続している

✔ 相談ベースで話す


銀行は
**「一緒に立て直せる会社」**を支援します。


■ 実務で多い成功事例


事例①:製造業

  • 月次報告を定例化
  • 外注費改善を継続報告
    → 銀行評価が向上、設備投資承認

事例②:建設業

  • 資金繰り悪化を早期共有
  • 返済条件変更+改善計画提示
    → 信用回復、正常返済へ復帰

事例③:サービス業

  • KPI改善を定量報告
    → 追加融資がスムーズに実行

■ 金融機関対応は「技術」である

銀行対応は、
性格や交渉力ではなく “技術” です。

  • 準備
  • 数字
  • 共有
  • 継続

この4点を守るだけで、
関係性は大きく改善します。


■ まとめ:銀行は“再建の味方”になり得る


✔ 早めの情報共有

✔ 数字での説明

✔ 改善の継続

✔ 相談ベースの対話


💬 銀行対応が変わると、
経営改善のスピードは一気に上がる。