
小売業・サービス業は「人手不足の深刻さ」「労働集約的な業務」が背景にあり、
省力化補助金との相性が非常に良い業界です。
本記事では、小売・サービス分野で採択された申請内容をもとに、
成功パターンと書き方のポイント をまとめます。
■ 小売・サービス業はなぜ通りやすい?
✔ 理由は次の3つ
- レジ・バックヤード業務=典型的な省力化対象
- 作業時間が計測しやすい(定量化しやすい)
- 人手不足の社会問題と政策目的が一致
特に「レジの無人化」「バックヤード業務の削減」は、
国として強く推進している領域のため審査評価も通りやすい傾向にあります。
■ 成功パターン①
POSレジ・自動レジ(セルフレジ)導入
▼典型的な課題
- レジ待ちによる顧客離れ
- レジ人員の確保が困難
- ミスやクレームの発生
- 店長・社員の残業増加
▼採択されやすい設備
- セルフレジ
- ハイブリッドレジ(半セルフ)
- POS+自動釣銭機セット
- スマホ注文端末
▼効果の出し方(例)
- 1会計:2分 → 30秒
- レジ担当:2名 → 1名
- 残業:月40時間削減
- 売上客数:レジ待ち解消で増加
“業務削減+売上向上” のセットで書けるのが強みです。
■ 成功パターン②
バックヤード業務(発注・棚卸・検品)の自動化
小売業のバックヤードは、
「見えないけれど人手が最も取られている領域」 です。
▼典型的な課題
- 毎日の検品作業が重い
- 発注作業が属人的
- 棚卸に丸1日かかる
- 朝・夜間の作業が負荷に
▼採択されやすい設備
- 自動発注システム
- 在庫管理システム(RFID連携)
- ハンディターミナル
- スマホ棚卸システム
▼効果の出し方(例)
- 検品:1箱10分 → 1分
- 棚卸:1日 → 2時間
- 発注:1店舗1時間 → 10分
バックヤードの“見えないコスト削減”が数字で出ると強力です。
■ 成功パターン③
予約管理・順番待ちのデジタル化(店舗サービス業向け)
飲食、美容室、整体院、歯科、各種サロンなどで採択されやすい領域。
▼典型的な課題
- 電話対応が多い
- 順番待ちで来店率が低下
- ダブルブッキング
- 受付業務にスタッフが取られる
▼採択されやすい設備
- 予約管理システム
- 順番待ちアプリ
- 顧客管理システム(CRM連携)
▼効果の出し方
- 電話対応:1日30分 → 5分
- 受付業務:月20時間削減
- 顧客管理:自動化で属人化解消
- 来店率:予約の可視化で改善
「接客に集中できる」→「売上増」 の書き方が定番です。
■ 成功パターン④
飲食・小売の厨房・仕込み工程の省力化
小売 × 飲食が混在する業態(ベーカリー、総菜店、精肉店など)は、
厨房の自動化で大きく評価されます。
▼採択されやすい設備
- 自動フライヤー
- 自動洗浄機
- スライサー(肉・野菜)
- 真空包装機
- 自動成形機
▼効果例
- 仕込み作業:2名 → 1名
- 洗浄作業:1時間 → 10分
- 事故・怪我リスクの低減(審査官ウケ◎)
労働負担の削減効果が明確に出るのがポイント。
■ 成功パターン⑤
**多店舗展開している企業の“本部業務”の省力化」
小売チェーン・サービスチェーンは、
バックオフィス統一による省力化を示すと強いです。
▼採択されやすい設備
- クラウド勤怠
- クラウド会計
- 店舗別売上自動集計
- 本部発注管理システム
▼効果の出し方
- 店舗からの報告作業:1日30分 → 自動化
- 勤怠集計:月10時間 → 1時間
- シフト管理:属人化 → 自動最適化
ひとつの自動化で、複数店舗の工数削減を示せるのが魅力です。
■ 小売・サービス業で採択される計画書の特徴(まとめ)
✔ 採択企業の共通点
- レジやバックヤードの工数が“数値で明確”
- 誰でもできる仕組みに変更(属人化解消)
- 効果が複合的(工数+売上+品質)
- 賃上げ要件の根拠が明確(①or②+③)
- 現場写真・作業時間のエビデンスが強い
✔ 審査官が重視するのは
- “省力化の必然性”
- “現場負荷が減るか”
- “数字の根拠”
- “設備の適格性”
小売・サービス業は「省力化の課題が明確」なため、
適切な計画書を作れば高い確率で採択を狙えます。


