■ はじめに:計画策定より大事なのは「実行支援」

経営改善計画がどれだけ立派でも、
実行されなければ1円の現金も生みません。

そこで活躍するのが、認定経営革新等支援機関による**「伴走支援」**です。
伴走支援とは、計画策定後も定期的に企業をフォローし、
実行状況を把握しながら改善行動が続くよう支援する仕組みです。

金融機関・中小企業活性化協議会は、
この“実行力”を非常に重視しています。


■ そもそも伴走支援とは何か?

伴走支援は、「計画書の提出」で終わらせず、
経営者が改善行動を継続できる仕組みを作るための支援です。

主な内容は次の通りです。

1️⃣ 改善実行のチェック・助言
 売上改善、コスト削減、業務改善の進捗確認。

2️⃣ 数値の管理(モニタリング)
 月次の売上・粗利・資金繰りなどの実績確認。

3️⃣ 計画の修正
 環境変化に応じて必要な修正を行う。

4️⃣ 金融機関への報告支援
 金融機関が安心できるよう進捗説明を行う。

5️⃣ 社内の実行体制づくり
 社員への共有、役割分担、KPI管理など。


■ 伴走支援は「早期経営改善計画」と「405事業」で内容が異なる

🔵早期経営改善計画(バリューアップ支援)

  • 任意だが非常に有効
  • 決算期と期中に各1回、最大10万円が補助対象
  • “改善の習慣化”が目的

🔵405事業(経営改善計画)

  • 必須(モニタリング)
  • 上限100万円が補助対象
  • 1~2年かけて再建を支える本格支援

405事業では、伴走支援を行わない計画は
「実行可能性が低い」と判断され、金融機関も協力を渋る傾向があります。


■ なぜ伴走支援が重要なのか?

① 計画の“実行率”が大きく向上する

人は自分1人では続かないもの。
第三者が関わることで継続率が大幅に上がります。

② 金融機関が安心する

「きちんとフォローされている」
「計画が独り歩きしていない」
という安心感が、新たな支援や条件緩和につながります。

③ 数値の改善が早く現れる

売上改善・粗利改善・コスト削減など、
支援者が定期的にチェックすると改善速度が上がります。

④ 客観的視点が経営を立て直す

課題に気づかないのは、経営者自身が現場に入りすぎているから。
外部の専門家が視点を入れることで、改善の抜け漏れが減ります。


■ 伴走支援の実務フロー

たとえば、405事業では次のように進行します。

1️⃣ 月次ミーティング(オンライン/訪問)
 売上・粗利・資金繰りをチェック。改善策を更新。

2️⃣ モニタリング表の作成・提出
 計画 vs 実績を協議会・金融機関に報告。

3️⃣ 課題の深堀り
 例:売上が計画比80% → 原因:受注減/外注増/粗利低下 など分析。

4️⃣ 改善策の見直し
 対策:営業強化/粗利改善/仕入先交渉/人件費対策 など。

5️⃣ 次月の重点アクション設定
 例:営業20件訪問、在庫削減、資金繰り改善など。

💬 特に重要なのは「次月アクション」を毎月設定し続けること。
計画は実行してこそ価値が生まれます。


■ 伴走支援で使う主要ツール

伴走支援では、次の“可視化ツール”が活躍します。

  • 月次資金繰り表
  • 月次モニタリング表
  • 売上構成比・粗利管理表
  • KPI管理シート(行動指標)
  • ビジネスモデル俯瞰図(更新版)

金融機関が重視するのは「計画と実績のズレ」ではなく、
**“ズレた時にどう対応したか”**です。


■ 良い伴走支援と悪い伴走支援の違い

項目良い伴走支援悪い伴走支援
姿勢経営者と同じ目線で議論指示的・一方的
数字管理計画と実績を毎月比較年1回だけの確認
行動次月のアクションを設定書類作成だけで終わる
金融機関対応報告資料も支援経営者任せ
効果行動習慣が定着し再建加速計画が“絵に描いた餅”になる

良い伴走支援は、企業の再建速度を2倍以上に加速させます。


■ 伴走支援の成功ポイント(経営者向け)

①「正直に話す」

悪い数字でも隠さず共有することが信頼の第一歩。

②「行動を止めない」

1つでも改善行動を進めていれば、金融機関は評価します。

③「毎月数字を出す」

月次決算・資金繰り表の更新が最重要。

④「支援機関を使い倒す」

遠慮せず、数字改善・営業課題・資金繰りの相談をする。


■ まとめ:伴走支援は“再建のエンジン”

経営改善計画は地図。
伴走支援は、その地図をもとに目的地へ進むための“エンジン”です。

  • 計画策定
  • 実行支援(伴走)
  • 数値管理(モニタリング)
  • 金融機関報告
  • 改善策修正

この流れが回り出した企業は、
1年後に見違えるように財務体質が改善します。

💬 再建成功のカギは「専門家とともに走ること」。
計画は、伴走があってこそ成果に変わります。