中小企業省力化投資補助金(一般型)の申請において、最も重要なのが事業計画書の質です。
しかし多くの企業が、

  • 何を書けばよいかわからない
  • 数字の入れ方が難しい
  • 設備の説明が主観的になってしまう
  • 賃上げの根拠が書けない

と悩まれます。

そこで本記事では、
採択企業の共通点 × 審査ポイント × 実務経験をもとに、

「それを書くと採択率が上がる」
「逆に書かないと落ちやすい」

という“本質的なコツ”をまとめました。


🔷 コツ①:「課題→根拠→解決策」の順番を絶対に崩さない

計画書で最も重要なのは、
「構成の流れ」が論理的であることです。

審査官は、

課題が曖昧なのに設備導入だけ立派
という計画書を最も嫌います。


✔ 正しい順番

① 現状の課題  
② 課題の根拠(数字で示す)  
③ その課題を解決する設備の説明  
④ 導入後の改善効果  
⑤ 賃上げにつながる仕組み

✔ 悪い例(不採択パターン)

「生産性向上のため自動化設備を導入する」
→ 課題の根拠がないので説得力ゼロ


✔ 良い例

「現在:1個あたり45分、月間480時間の負荷
→ 自動化により25分へ改善(▲44%)
→ 浮いた時間を新規受注対応へ投入し、付加価値創出
→ 年2%以上の賃上げを実現」

この流れで書くと、一気に評価が上がります。


🔷 コツ②:「作業時間」「不良率」「残業」の3つは必ず入れる

省力化補助金は、
数値で語った企業ほど採択されやすい制度です。

特に入れるべき根拠データはこの3つ。


✔ 必須の3つの定量データ

  1. 作業時間(Before→After)
  2. 不良率(Before→After)
  3. 残業時間(削減根拠)

✔ 記載例

作業時間:45分 → 25分(44%削減)  
不良率:2.5% → 1.0%  
残業:月60時間 → 月10時間以内へ

この3点が明確だと、
設備の必要性・費用対効果が一目でわかります。


🔷 コツ③:設備説明は「機能」ではなく「解決する課題」で書く

ダメな計画書の典型はこれです👇

「AI画像認識搭載の最新鋭の自動化装置です」

これは技術説明にすぎず、
審査官は“だから何?”と感じます。


✔ 良い説明

「熟練工しかできない溶接角度調整を、AI画像認識が代替することで
属人化・品質ばらつきを解消できる」

自社の課題に紐づけて書くことが最重要ポイントです。


🔷 コツ④:賃上げは“計画的にどう実行するか”を明確に書く

この補助金の核心は

省力化=賃上げ

です。

設備で削減した時間をどう活かし、
どう賃上げ原資を捻出するか、
具体的に書く必要があります。


✔ 悪い例

「省力化効果により賃上げする」

抽象的すぎて落ちやすい。


✔ 良い例

年間1,800時間の削減 → 新規案件対応へ振替  
→ 年800万円の粗利増  
→ その一部を原資として全社員の基本給を年2%引き上げる

審査官に
“賃上げが実現できる理由”
を提示するのがコツです。


🔷 コツ⑤:文章の70%は「数字・根拠・事実」で書く

採択される計画書の特徴は、
とにかく**“根拠-heavy”**であること。


✔ 書くべき要素

  • Before→Afterの比較
  • 削減時間の積算根拠
  • 生産量・稼働率のデータ
  • 人員配置の変化
  • 投資回収見込み

✔ 悪い例(不採択になりやすい)

「効率化が期待できる」

✔ 良い例

1日30個 → 45個へ増産(50%UP)  
削減工数:月160時間  
人件費削減効果:年180万円  
→ 全額を賃上げ原資へ振替

数字が多いほど、
審査官は「実現性が高い」と判断します。


🔷 コツ⑥:審査官は“実現体制”を非常に重視している

省力化設備は導入後の運用が難しいため、
誰が・どう管理するのかが超重要です。


✔ 書くべき内容

  • 経営者の関与(意思決定の明確化)
  • 現場責任者の役割
  • 操作教育・マニュアル整備
  • 支援機関との連携
  • トラブル発生時の対応フロー

✔ 例

製造部長が教育計画を策定し、3ヶ月間の現場研修を実施。
支援機関と毎月レビューを行い、効果測定と計画の軌道修正を行う。

🔷 まとめ:事業計画書は“型”より“伝わる構成”が勝ち

審査官に響く計画書とは、
次の3つが明確に書けている計画書です。


✔ 審査官が見ているポイント

  1. 課題が数値で明確に示されているか
  2. 設備がその課題を本当に解決するか
  3. 賃上げが実現できる根拠があるか

これらが揃えば、
補助金の審査では非常に高い評価を得られます。