中小企業省力化投資補助金(一般型)の採択結果を見ると、
採択企業は計画書“そのもの”よりも、
実は「裏側の準備」に圧倒的な差がある
ことが分かります。**

つまり、

申請の勝負は「書き始める前」に決まっている。

この記事では、実際に採択企業が行っている
**計画書の裏側づくり(事前準備〜数値集計)**を
5ステップで完全解説します。


🔎 Step1:最初にやるべきは「現場取材」と「工程の見える化」

計画書が弱い企業の特徴は「机上で書いてしまう」こと。
採択企業は必ず “現場のリアル” を拾いに行きます。


✔ 現場で必ず確認すべき5項目

  1. 1つの作業に何分かかっているか(ストップウォッチ計測)
  2. 作業工程(誰が・何を・どれだけ)
  3. 不良の原因(どこでバラついているか)
  4. 無駄時間(段取り・探し物・調整時間)
  5. 現場担当者が困っている本音

📌 ポイント

現場担当者へのヒアリングは、
**支援機関でも経営者でもなく“作業者本人”**が最も本音をくれます。


✔ ヒアリング例文

Q:最も時間がかかっている作業はどこですか?  
Q:熟練者でないと難しい工程はありますか?  
Q:作業ミスが起きやすい瞬間はどこですか?  
Q:機械導入で楽になるとしたら、どの工程ですか?

これを聞くと、
「文章では出てこない“解決すべき本質課題”」が浮き出ます。


🧮 Step2:採択企業は必ず「数値の積算根拠」をつくっている

審査官は文章ではなく 数字で判断するため、
採択企業は以下の3つを必ずデータ化しています。


✔ 必須の数値データ

① 作業時間

  • Before(現状)
  • After(導入後シミュレーション)
  • 削減工数(月間・年間)

② 不良率

  • Before→After
  • 不良による損失額

③ 残業

  • Before:月60時間
  • After:月10時間へ
  • 年間削減時間:600時間

✔ 採択企業は「削減=賃上げ原資」の計算まで行う

削減工数 1,800時間 × 時給2,000円  
= 年360万円の改善効果

これをそのまま計画書に入れると評価が跳ね上がります。


🏗 Step3:設備の“必要性”を裏付ける資料を集める

採択される企業は、設備選定に「薄い理由」を書きません。


✔ 必ず用意する資料

  • 3社比較見積(価格差の妥当性)
  • 仕様書(目的との整合性)
  • 工程図・フローチャート
  • 過去の作業実績(手書きメモでもOK)
  • 現場の写真(Before→Afterで説得力UP)

✔ 設備メーカーから聞くべき質問

① この設備は具体的に何時間削減できる?  
② 同業者の導入実績は?  
③ 省力化効果を証明する資料はある?  
④ 教育時間は何時間必要?

採択企業は「メーカーの言葉をそのまま書かない」。
必ず 自社の課題に当てはめた内容に変換しています。


👥 Step4:採択企業は“経営者・現場・支援機関”の三位一体で動く

審査官は「実効性」を見ており、
その鍵は “誰がどうやって実行するか” です。


✔ 実施体制の作り方

① 経営者

  • 投資判断
  • 賃上げ方針
  • モニタリング指示

② 現場責任者

  • 作業標準化
  • 教育計画
  • 工程改善の実行

③ 支援機関

  • 計画書レビュー
  • 効果シミュレーション
  • 交付申請・実績報告の支援

✔ 採択企業の特徴

  • 月1回のレビューMTGを実施
  • 効果測定の仕組みを準備
  • 設備稼働後の運用ルールを明確化

書類上だけの体制ではなく、
“実際に動いている体制”を作っている点が強いです。


🧭 Step5:採択企業が必ず作る「計画書の裏台本」

採択企業は最初に「文章」を書きません。
最初に作るのは 裏台本(アウトライン) です。


✔ 裏台本に入れる項目

① 解決したい課題(数字で)  
② 設備による解決ロジック  
③ Before→After効果  
④ 賃上げの原資ストーリー  
⑤ 体制とスケジュール  

これを作ってから文章化するため、
計画書に 一貫したストーリー が生まれます。


📌 まとめ:採択される計画書は「表」より「裏」が圧倒的に強い

採択企業の裏側に共通しているのは次の3点です。


★ 採択企業の共通点

① 現場でデータを集めている

→ 説得力のある数値が書ける

② 設備の“課題解決”を軸に考えている

→ 機械ありきの計画にならない

③ 賃上げの実現性まで説明できる

→ 計画書が“制度にピッタリ合う”