事業の成長や販路開拓を目指す小規模事業者にとって、有効な手段の一つが「小規模事業者持続化補助金」です。しかし、補助金を活用する際に「パソコンの購入も対象になるのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、小規模事業者持続化補助金の概要から、パソコン購入が対象となるか否か、その理由と代替手段、注意点までわかりやすく解説します。


小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金は、国(中小企業庁)が提供する中小企業支援制度で、小規模事業者の「販路開拓」や「業務効率化」に必要な経費の一部を補助するものです。

【制度概要】2024年度版(通常枠)

区分内容
補助率対象経費の2/3
補助上限額50万円(特例で100~200万円もあり)
主な対象経費設備投資費、広告費、展示会費など
対象者(従業員数目安)商業・サービス業:5人以下/製造業:20人以下

パソコンは補助対象になる?

結論から言うと、「パソコンの購入費用は原則として補助対象外」です。

なぜ対象外なのか?

  • 私的流用の可能性が高い
    汎用性が高く、事業以外でも使えてしまうため。
  • 業務に直接の目的が明確でない場合が多い
    パソコン単体では、販路開拓や業務効率化にどう貢献するかが不透明なケースが多い。

パソコンが補助対象外となる理由

◆パソコンの購入費は原則対象外
・私用と兼用されやすい
・転売リスクがある
・効果が間接的と判断されやすい

ただし、パソコン本体以外の費用(例えば、特定業務向けのソフトウェアや専用機器導入)については、対象となる可能性があります。


補助金で認められる主な経費項目

以下のような経費であれば、パソコンを使わずとも事業の効率化や販路拡大を図ることができます。

経費項目内容例
機械装置等費商品陳列棚、製造機械、POSレジ、業務専用の端末など
広報費チラシ制作、Web広告、SNSマーケティング費用など
展示会等出展費出展料、ブース設営費、移動費
外注費ホームページ制作、ネットショップ開設などの外注費
専門家謝金中小企業診断士やITコンサルなどへの謝金
雑役務費イベント運営のアルバイト費、ポスティング費用など

パソコン以外のIT投資で補助金を活用する方法

「業務効率化のためにIT導入をしたいけれど、パソコンが対象外ならどうすれば?」という方向けに、以下のような代替手段があります。

◎IT活用の代替例

  • クラウド会計ソフトの導入
  • ECサイト構築費用(外注)
  • POSシステムや業務専用端末
  • マーケティングツールや管理ツールのライセンス費

これらは「業務効率化」「販路開拓」に直結するため、補助対象となる可能性が高くなります。


申請の流れと注意点

補助金を活用する際は、申請から受領までにいくつかのステップがあり、事前準備が重要です。

【申請の流れ】

  1. 経営計画書の作成
      商工会・商工会議所と連携し、事業計画を作成。
  2. 申請書の提出
      必要書類をまとめて期限までに提出。
  3. 審査・採択
      提出書類に基づいて審査され、採択されれば交付決定。
  4. 事業実施・実績報告
      交付決定後に事業を実施し、実績報告を行う。
  5. 補助金の受領
      報告内容が承認されると、補助金が支払われる。

補助金を活用するうえでの注意点

  • 公募要領を必ず確認する
    毎年内容が見直されるため、最新版を確認することが大切です。
  • 補助対象か曖昧な場合は専門家へ相談
    商工会議所や中小企業診断士などに確認を取ることをおすすめします。
  • 交付決定前の購入は対象外になる
    補助金は「交付決定後」に実施した経費しか対象となりません。

まとめ

パソコンの購入費用は、原則として小規模事業者持続化補助金の対象外です。しかし、業務専用のIT機器やソフトウェア導入など、パソコン以外の手段でも十分に効率化や販路拡大は可能です。

補助金制度をうまく活用することで、限られた予算でも大きな効果を得ることができます。パソコン購入にこだわらず、より効果的な投資を検討しましょう。


補足:補助金制度は随時改正されています。最新情報は中小企業庁の公式サイトや公募要領をご確認ください。不安な方は商工会議所または専門家への相談をおすすめします。