高齢者や子育て世代、障がいのある方にも優しい店舗づくりは、事業の新たな可能性を広げる鍵となります。
実は「小規模事業者持続化補助金」を活用することで、バリアフリー化にかかる費用の一部を補助してもらえることをご存知でしょうか?

本記事では、補助対象となるバリアフリー化の内容、採択事例、活用時の注意点についてわかりやすく解説します。


小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が行う「販路開拓」や「業務効率化」の取り組みに対し、費用の一部を支援する国の制度です。

制度の概要(2024年時点)

区分内容
補助率対象経費の2/3以内
補助上限額通常枠:50万円(特別枠で100〜200万円の場合あり)
対象事業販促活動、設備投資、店舗改装、Web活用など

なぜバリアフリー化が補助対象になるのか?

バリアフリー化は、新たな顧客層(高齢者・障がい者・子育て世代など)へのアプローチ手段として「販路開拓」の一環とみなされます。
つまり、バリアフリー整備を通じて顧客層が広がると判断されれば、補助金の対象になるのです。


【図解】補助金で実現できるバリアフリー化の一例

 補助対象となる主なバリアフリー工事例 
 ◉ スロープ設置    │ ◉ 自動ドア導入

 ◉ 段差解消(床工事) │ ◉ 多目的トイレ改修 
 
 ◉ 手すり設置    │ ◉ 車いす用通路の整備 

※上記工事は「外注費」または「設備処分費」として申請可能


採択されたバリアフリー化の実例

実際に補助金を活用してバリアフリー化を実現した事業者の一部をご紹介します。

  • 理容室:「シニア層向けに段差を解消し、売上10%アップを実現」
  • 飲食店:「入口のフラット化と自動ドアで家族連れの来店が増加」
  • 福祉美容:「高齢者・障がい者対応の施設を整備し顧客単価を向上」
  • 法律事務所:「ベビーカーも通れるバリアフリー導線で子育て世代を獲得」

これらの事例は、バリアフリー化によって「潜在顧客の取り込み」「集客力向上」「地域密着型サービス」などの成果を上げた好例です。


バリアフリー化に関連する補助対象経費

バリアフリー化は「外注費」または「設備処分費」として補助対象となります。加えて、改装後の販促も申請可能です。

経費分類内容例
外注費店舗改装工事(スロープ・トイレ改修・入口整備など)
設備処分費段差や老朽化設備の撤去など(補助対象経費総額の1/2が上限)
広報費改装後のチラシ・パンフレット・Webリニューアルなど
雑役務費チラシのポスティング・アルバイト代
専門家謝金コンサルティング(ユニバーサルデザイン設計等)

補助金申請における注意点

補助金を受けてバリアフリー化を進めるには、以下のポイントに留意しましょう。

① 計画の明確化

「なぜ改装が必要か」「どの顧客層にアプローチするか」など、目的と成果を見据えた計画書を作成しましょう。

② 補助金交付決定後に着工

工事は「交付決定通知後」に開始する必要があります。事前着工した場合、補助対象外となります。

③ 商工会・商工会議所との連携

申請前に、地域の商工会議所などと相談し、「事業支援計画書」の交付を受けることが必要です。


こんな方は専門家への相談がおすすめ

  • 「バリアフリー工事が本当に補助対象になるか不安」
  • 「計画書の書き方がわからない」
  • 「審査で落ちたくない」

このようなお悩みをお持ちの方は、中小企業診断士などの補助金申請支援の専門家へ相談することで、申請成功率を高めることができます。


まとめ

小規模事業者持続化補助金を活用すれば、バリアフリー化にかかる費用の大部分を軽減しながら、事業の成長に直結する施策を進めることができます。

最後に、補助金申請成功のポイントをおさらい:

  • 販路拡大につながるバリアフリー整備であることを明確に
  • 商工会議所との連携と、丁寧な計画書の作成
  • 専門家の力を借りて申請の完成度を高める

顧客に優しい空間づくりは、事業の信頼性と競争力を高める第一歩です。
この補助制度を活用して、ぜひバリアフリー化を前向きにご検討ください。


補足:
補助金の内容は年度ごとに変動があります。最新の公募要領は必ず事前にご確認ください。