ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)は、中小企業の設備投資やサービス開発を支援する国の代表的な補助制度です。今回は、**第21次公募(2025年7月25日〜10月24日)**の要点を解説します。


1. 補助金の目的

中小企業が、制度改正や経済変化に対応するための「革新的な製品・サービス開発」や「海外展開」に取り組むことを支援し、生産性向上と経済活性化を図ることが目的です。


2. 補助の対象となる事業

主に以下の2枠があります。

A. 製品・サービス高付加価値化枠(国内向け)

  • 内容:革新的な製品・サービスの開発に必要な設備投資等を支援
  • 補助上限額(従業員数による):
    • 5人以下:750万円
    • 6〜20人:1,000万円
    • 21〜50人:1,500万円
    • 51人以上:2,500万円
  • 補助率
    • 中小企業:1/2、小規模事業者・再生事業者:2/3

B. グローバル枠(海外展開向け)

  • 内容:輸出、海外子会社との連携、インバウンド対応などに必要な投資を支援
  • 補助上限額:最大3,000万円
  • 補助率:中小企業:1/2、小規模事業者:2/3

3. 特例措置による上限額・補助率の引上げ

① 大幅賃上げ特例

  • 賃上げに積極的な事業者は、上記の補助上限額に最大+1,000万円加算可能

② 最低賃金引上げ特例

  • 所定条件を満たせば、補助率が一律2/3に引き上げられます

4. 補助対象となる経費(共通)

  • 機械装置・システム構築費(必須)
  • 技術導入費、専門家経費、運搬費
  • クラウドサービス利用費、原材料費、外注費
  • 知的財産権関連費用
  • ※グローバル枠はこれに加えて「海外旅費」や「通訳・翻訳費」も対象

5. 補助対象者の要件

以下のいずれかに該当することが必要です。

  • 中小企業者、小規模事業者
  • 特定非営利活動法人(NPO)、社会福祉法人などの一部法人
  • 例:製造業で従業員300人以下、サービス業で100人以下、小売業で50人以下など

6. 審査に通るための基本要件

以下の要件を事業計画に含める必要があります。

【基本要件】

要件内容
① 付加価値額の増加年平均3.0%以上の成長
② 賃金の増加年平均2.0%以上の成長、または最低賃金比+α
③ 事業所内最低賃金都道府県最低賃金+30円以上
④ 両立支援の計画従業員21人以上は「両立支援のひろば」への登録必須

7. 申請から補助金受給までの流れ

以下の流れで進行します。

【図解】補助金申請のステップ

① 公募開始(7/25)

② 電子申請開始(10/3)

③ 締切(10/24)

④ 審査・採択(1月頃)

⑤ 交付申請・決定(採択後2ヶ月以内)

⑥ 補助事業の実施(最大12ヶ月)

⑦ 実績報告・精算

⑧ 補助金交付

8. 注意すべきポイント

  • GビズIDプライムが必須。事前に取得を。
  • 同一法人の重複申請や、他補助金との重複計上はNG。
  • 不適切なコンサル(高額報酬・虚偽申請の教唆など)に要注意。
  • 採択されても、交付申請の内容によっては減額・全額不交付もあり得ます。

まとめ:中小企業にとっての成長チャンス

ものづくり補助金は、革新的な取り組みを後押しする国の強力な支援策です。今回の第21次公募では、賃上げや海外展開に対する優遇措置も強化されています。

自社の成長戦略と補助対象の要件が合致する場合は、積極的な活用を検討しましょう。特に「申請書の質」と「事業計画の実現性」が審査の鍵です。


補助金活用の成功に向けて

  • まずは事業計画の策定専門家との相談から始めましょう
  • よろず支援拠点や認定支援機関も活用可能
  • 補助金は「経営改善の手段」として使うべきです

ご希望があれば、補助金申請書作成支援や事業計画のレビューも承っております。お気軽にご相談ください。