
―海外進出を支援する4つの類型と申請のポイント―
海外市場への進出を目指す企業にとって、**ものづくり補助金「グローバル展開型」**は強力なサポートとなります。
ただし、制度は複雑で、申請には明確な計画と準備が必要です。
本記事では、制度の概要から4つの支援類型、申請のポイントまでをわかりやすくご紹介します。
海外展開を真剣に検討する中小企業の皆さまへ、制度活用の道しるべとしてご活用ください。
グローバル展開型とは?
グローバル展開型は、2020年度から設けられた海外展開に特化した補助枠です。
国内での製品・サービスの開発にとどまらず、海外市場への進出・連携・展開を目的とした取り組みが補助対象となります。
▼主な特徴
項目 | 内容 |
---|---|
補助上限額 | 最大3,000万円 |
補助率 | 小規模事業者:2/3、その他事業者:1/2 |
対象経費 | 機械装置費、技術導入費、海外旅費、専門家経費など |
事業期間 | 交付決定から原則12か月 |
国内の一般型と比較して補助額・事業期間ともに大きく、より本格的な取り組みに対応した枠組みです。
グローバル展開型の4つの類型
申請にあたっては、自社の海外展開戦略に応じて、以下の4つの類型から最適なものを選択する必要があります。
▼図解:4つの類型と選択の目安
類型 | 内容 | 該当する企業例 |
---|---|---|
海外直接投資型 | 海外拠点の強化・増設など、自社資本による現地投資を支援 | 既に海外工場や販売拠点がある製造業など |
海外市場開拓型 | 国内開発の製品・サービスを海外に展開し、新たな販路を開拓 | 輸出拡大を目指す食品、日用品メーカーなど |
インバウンド市場開拓型 | 訪日外国人向けの製品・サービスの開発・販売 | 観光業、小売業、宿泊業など |
海外事業者との共同事業型 | 海外企業との共同開発・実証・事業化など国際連携プロジェクトを支援 | 海外企業との技術提携を進めるスタートアップ |
自社に合った類型をどう選ぶ?
✅ 類型別の判断ポイント
- すでに海外拠点がある → 海外直接投資型
- 海外に新たに販路を開きたい → 海外市場開拓型
- 訪日外国人を対象としたい → インバウンド市場開拓型
- 海外企業と共同開発を行いたい → 海外事業者との共同事業型
自社の強みや現状、将来ビジョンに合わせて選ぶことで、計画の整合性が高まり、審査でも有利になります。
申請時に押さえるべきポイント
グローバル展開型は補助額が大きい分、事業計画の精度と説得力が重視されます。以下の3点は特に重要です。
1. 具体的な事業計画
- どの国に、どの製品・サービスを展開するのか?
- どのような売上目標や成果が期待できるのか?
- 競合との差別化はどこか?
2. 市場調査の裏付け
申請にあたっては、現地市場の需要や競争状況に関する調査が求められる場合があります。
具体的な統計やレポートを用いて、市場性・実現可能性をデータで証明しましょう。
3. 専門家の活用
制度内容や手続きが複雑なため、中小企業診断士や補助金申請に強いコンサルタントと連携することで、申請書の質を高めることができます。
補助対象経費の一例
グローバル展開型では、海外展開に関わる幅広い経費が対象となります。
経費区分 | 内容例 |
---|---|
機械装置費 | 海外生産拠点での設備導入、製造ライン構築など |
技術導入費 | 海外展開のためのノウハウ取得、技術ライセンスなど |
海外旅費 | 現地調査、商談、契約締結などの出張費用 |
専門家経費 | 翻訳、法務、現地コンサルティング費用など |
通信・クラウド費 | 海外向けサービス開発に必要なクラウドシステム使用料など |
まとめ:グローバル展開型は海外進出の強力な後押し
「ものづくり補助金・グローバル展開型」は、本気で海外展開に取り組む企業のための補助金です。
自社の戦略と制度を照らし合わせて、最適な類型を選び、事業計画を丁寧に構築することが、採択への第一歩となります。
✅ 申請前のチェックリスト
- 自社の海外戦略と類型が一致しているか
- 数値目標とKPIを明確に設定できているか
- 市場調査・現地パートナーとの連携体制はあるか
- 補助対象経費が正しく整理されているか
- 専門家のサポートを受けているか
制度の活用は、準備が8割です。
海外展開に向けたチャレンジに、グローバル展開型補助金を上手に取り入れましょう。