マーケティングにおいて、「顧客を知ること」は成功への第一歩です。製品やサービスを選び、購入・利用に至るまで、顧客はどんな行動をし、どのように感じているのでしょうか?

その「顧客の旅」を可視化するのがカスタマージャーニーです。本記事では、カスタマージャーニーの基本から作成手順、活用メリット、事例、注意点までをわかりやすく解説します。


■ カスタマージャーニーとは?

**カスタマージャーニー(Customer Journey)**とは、顧客が商品やサービスに出会い、購入し、利用・再訪に至るまでの一連の行動や感情の流れを時系列で整理したものです。

このプロセスを可視化したものが「カスタマージャーニーマップ」であり、顧客理解を深め、より的確な施策設計に役立ちます。


■ 図解:カスタマージャーニーマップの基本構造

│ フェーズ  │ 行動       │ 思考・感情     │ タッチポイント     │
│ 認知    │ 広告を見る    │ 気になるが怪しい? │ SNS広告、CM      │
│ 興味・関心 │ 検索する     │ 他社と比較したい  │ Webサイト、レビュー │
│ 比較・検討 │ 比較表を作成   │ 値段が妥当か不安  │ 比較サイト、問い合わせ │
│ 購入    │ 購入手続きをする │ 本当に買って良い? │ カート画面、決済画面 │
│ 利用・継続 │ 商品を使用    │ 満足・不満足    │ アフターサポート │


■ カスタマージャーニーを作成するメリット

1. 顧客理解が深まる

購買プロセス全体の流れと感情の変化が見えるため、「どこでつまずくのか」「なぜ離脱するのか」が明確になります。

2. 顧客目線の施策が立てやすくなる

広告やコンテンツ、接客の設計を、顧客の視点で行えるようになります。結果として、離脱防止や満足度向上につながります。

3. 部署間で共通認識が持てる

マーケティング部門だけでなく、営業・サポートなどとも顧客情報を共有でき、全社的に一貫した対応が可能になります。

4. 広告・訴求メッセージの精度が上がる

顧客の「感情の変化」に合わせた訴求ができるため、クリック率や購入率の向上が期待できます。


■ 活用事例:実際の企業の取り組み

● Airbnb

宿泊予約プロセスで顧客が抱く不安(写真と実物が違うかも?、料金体系がわかりにくいなど)を洗い出し、タイミングごとに適切な説明や口コミを提示。ユーザー体験を向上。

● パソナキャリア

新卒学生の就職活動の流れをジャーニー化。企業選びの迷いや不安を把握し、採用サイトや説明会の内容を改善。エントリー数を増加させた。


■ カスタマージャーニーの作成手順

1. ペルソナ設定

ターゲットとなる顧客像(年齢、職業、行動パターン、悩みなど)を具体的に描きます。

例:

  • 25歳女性・会社員・ECでコスメ購入
  • 肌悩みをSNSで検索→口コミを見て購入を検討

2. ゴールを定める

ジャーニーの最終目的を決めます(例:商品購入、サービス申込、資料請求など)。

3. 購買プロセスをフェーズに分ける

「認知 → 興味・関心 → 比較検討 → 購入 → 継続利用」などの段階に分類します。

4. 各フェーズでの行動・感情を整理

行動(何をするか)、思考(何を考えるか)、感情(何を感じるか)を洗い出します。

5. タッチポイントを明確にする

顧客が接触するチャネル(広告、LP、店舗、LINEなど)を特定し、改善ポイントを把握します。


■ 成功するカスタマージャーニーのコツ

● 顧客視点を最優先に

「企業の都合」ではなく、「顧客の不安・期待」に着目して設計することが鍵です。

● 部署横断で作成する

マーケティング部門だけでなく、営業・サポートなど現場の声を反映させると、より実態に合ったマップになります。

● 定期的に見直す

市場や顧客の変化に応じて、ジャーニーも柔軟にアップデートしましょう。特にデジタル環境は変化が早いため、半年ごとの見直しがおすすめです。


■ 他の分析手法との併用も有効

フレームワーク補足効果
PEST分析外部環境の変化も加味できる
SWOT分析自社の強みをどのフェーズで活かすかが見える
STP分析ターゲット像とジャーニーの整合性を確認できる

■ まとめ:顧客の視点を“可視化”することが競争力に

カスタマージャーニーは、マーケティングを「企業視点」から「顧客視点」へと転換する強力なフレームワークです。ペルソナを軸に、顧客の行動・感情を追い、各接点で何を提供すべきかを明確にすることで、一貫性のある顧客体験を提供できます。

まだ活用していない企業こそ、この手法を導入することで、マーケティング活動の精度と効果を大きく高めることができるでしょう。