店舗改装は、顧客満足度の向上や新たな販路の獲得に直結する重要な投資です。しかし、実際に改装を進めるにはまとまった資金が必要となるため、二の足を踏んでいる方も少なくありません。

そんな中、小規模事業者の味方となるのが「小規模事業者持続化補助金」です。本記事では、この補助金を活用して店舗改装を成功に導くためのポイントをわかりやすく解説します。


小規模事業者持続化補助金とは?

小規模事業者持続化補助金は、経済産業省と中小企業庁が実施している中小企業支援制度です。対象となるのは、従業員数が5人以下(商業・サービス業)または20人以下(製造業など)の事業者です。

この補助金の目的は、「販路開拓」や「業務効率化」に取り組む事業者を支援することにあり、その一環として店舗改装も対象となります。


店舗改装が補助対象になる理由

補助金の目的はあくまで事業の持続と成長支援です。したがって、改装が単なる内装の刷新ではなく、「売上向上」「顧客満足度向上」「業務の効率化」などにつながる内容であれば、補助の対象となります。

具体的な改装例

改装目的内容の例
新規顧客開拓テイクアウト窓口の設置、配信用キッチンの新設
既存顧客対応強化バリアフリー化、トイレの改装、待合スペースの拡張
業務効率化レイアウト変更、作業導線の改善、新設備導入

対象となる経費の範囲

補助対象経費は改装工事費だけにとどまりません。以下のような関連費用も対象に含まれます。

経費分類内容の例
広報費チラシ制作、Webサイトのリニューアル
展示会出展費商品・サービスの発表イベント
専門家経費コンサルタント報酬、中小企業診断士への相談費
設備処分費不要設備の廃棄・撤去費用
外注費内装工事、看板設置など(※不動産取得費は対象外)

図解:店舗改装補助の対象範囲

┌────────────────────────────┐
│ 改装費用(内装・設備)     │
│ ┌────────────┐           │
│ │ テイクアウト窓口新設  │            │
│ │ バリアフリー化工事           │
│ └────────────┘          │
├────────────────────────────┤
│ 関連費用(周知・導入支援)     │
│ ・チラシ作成費  ・Webリニューアル費      │
│ ・展示会出展費  ・専門家謝金/旅費      │
│ ・旧設備処分費  ・設計外注費など      │
└────────────────────────────┘

補助金の申請から実施までの流れ

補助金を活用するには、以下のステップを踏む必要があります。

1. 事業計画書の作成

「なぜ改装するのか?」「どんな効果を見込むのか?」を明確に記載した計画書を作成します。

2. 商工会議所などでの確認

地域の商工会・商工会議所に計画書を持参し、支援計画書の発行を依頼します。

3. 申請書類の提出

必要書類をそろえ、日本商工会議所の補助金事務局に提出します。

4. 交付決定・工事開始

交付決定通知を受けてから、改装工事を開始できます(事前発注は対象外)。

5. 実績報告・補助金請求

工事完了後、証拠書類を添えて実績報告を提出し、補助金の支払いを受けます。


活用事例:こんな店舗が補助金で改装を実施!

  • カフェ:景観重視のお客様向けのテラス席を増設
  • 美容室:高齢者の来店に備えて段差解消と自動ドア設置
  • 和食店:テイクアウト需要に対応した受付カウンター設置
  • ゲストハウス:外国人観光客向けにバスルーム改装

このように、飲食、理美容、宿泊業など、幅広い業種で補助金が活用されています。


店舗改装を成功させるポイント

補助金を活用して改装を成功させるために、以下の点を押さえておきましょう。

  • 目的を明確にする:「顧客層を広げたい」「回転率を高めたい」など、改装によって何を得たいのかを明確化
  • 改装内容を数値化する:「来客数20%増加」「回転率1.2倍」など、成果が測定できる指標を盛り込む
  • 見積書・写真など証拠資料を用意する:補助金の実績報告には、施工前後の写真、領収書、契約書が必須です
  • 専門家に相談する:中小企業診断士などの助言で、申請の精度が向上します

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、店舗改装を検討する方にとって非常に有効な制度です。
自己資金だけでは難しい改装計画も、この補助金を活用すれば実現の可能性が広がります。

申請には明確な目的と効果を示した事業計画が必要ですが、しっかり準備をすれば高い採択率も期待できます。
まずは地域の商工会議所に相談し、改装計画の第一歩を踏み出してみましょう。