業務の効率化やIT化が求められる中、運送業でも「ものづくり補助金」を活用する企業が増えています。
本記事では、制度の概要から運送業での具体的な活用事例、申請の流れまでをわかりやすく解説します。


ものづくり補助金とは?

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
中小企業や小規模事業者が、新たな設備投資や業務プロセスの革新に取り組む際に、その経費の一部を補助する国の制度です。

一般的には製造業向けの印象がありますが、運送業でも生産性向上を目的とした取り組みであれば、十分に活用可能です。


制度概要(2025年度)

項目内容
補助率通常枠:1/2、小規模枠:2/3
補助上限額最大1,250万円
対象者中小企業・小規模事業者(法人・個人)
対象経費機械装置、システム構築、技術導入、クラウド利用料、外注費など

図解:運送業における補助金活用の例

A[業務課題の明確化] --> B[改善施策の検討]
B --> C[補助金対象設備・システムを選定]
C --> D[申請書作成・提出]
D --> E[審査・採択]
E --> F[設備導入・報告]
F --> G[補助金交付]

運送業での具体的な活用事例

1. クラウド型混載輸送システムの導入

背景: 小口配送の非効率性、積載率の低下
導入内容: クラウド型物流プラットフォームの構築
成果:

  • 混載輸送の自動マッチングで積載効率が向上
  • 配車業務の自動化により事務負担を軽減
  • 顧客満足度の向上と新規取引先の拡大

2. テレワーク対応型の物流管理システム

背景: 災害やパンデミックへの業務継続対策が必要
導入内容: クラウド対応のEDI(電子データ交換)システム
成果:

  • リモート環境でも受注~配車まで対応可能
  • 人手不足でも処理スピードを維持
  • 属人化業務の可視化と平準化を実現

3. 車両管理システムによる配送最適化

背景: 燃料費の高騰とドライバー不足
導入内容: GPS連動型の運行管理・ルート最適化システム
成果:

  • 走行距離の削減と燃費改善によりコスト削減
  • 安全運転スコアリングによる事故リスクの抑制
  • 車両稼働率の改善と整備管理の自動化

補助金活用のポイント

申請には審査があり、準備不足では採択されにくいのが実情です。以下のポイントを意識しましょう。


1. 自社の課題を明確にする

「何を改善したいか?」を明らかにすることが、補助金申請の第一歩です。

課題補助金での対応例
積載効率が悪い配送マッチングシステムの導入
配送コストが高いルート最適化システム導入
災害時の業務継続が困難クラウド型業務システムの導入

2. 生産性向上・利益改善が見込める内容にする

審査では、「どのように事業が良くなるのか」が重視されます。

  • 売上や利益の向上見込み
  • 業務工数の削減効果
  • 顧客満足度向上につながる要素

3. 専門家の活用を検討する

申請書には事業計画や数値根拠が必要です。中小企業診断士や商工会議所の相談窓口、補助金支援事業者の活用も有効です。


対象となる主な経費一覧(抜粋)

経費項目内容
機械装置費システム連携機器、センサー、GPS機器など
システム構築費クラウド物流管理システム開発費
技術導入費外部ノウハウ導入のための費用
クラウド使用料月額型のクラウドサービス利用料
外注加工費システム開発・運用を外部委託した際の費用
知的財産権関連費ソフトウェアのライセンス取得費用など

まとめ:運送業の次なる一手に補助金活用を

「ものづくり補助金」は、運送業においても業務改善・競争力強化を図るための有効な支援策です。

導入可能な領域は広く、

  • 配送の効率化
  • 業務のリモート化
  • 車両管理の高度化
    など、現場課題の多くに対応できます。

制度をうまく活用すれば、大きな投資負担を軽減しながら、持続的成長を実現することが可能です。