
■ はじめに
食品メーカーの経営者から最もよく聞く悩みのひとつが、
「設備を更新したいが、資金がない」
「そもそも、どんな設備が必要か判断できない」
という声です。
しかし、実は「資金がないから更新できない」のではなく、
**“更新できない構造に陥っている”**企業が非常に多いのが実態です。
本記事では、食品メーカーが陥りやすい「設備投資が進まない理由」をわかりやすく整理し、
どうすれば更新できる企業体質に変われるのかを解説します。
■ 1. “もったいない精神”が投資を遅らせる
食品業界には良い意味で「倹約型」の経営が根付いています。
しかし、これが裏目に出るケースが非常に多くあります。
● よくある判断例
- 「修理でなんとかなる」
- 「来年まで持ちそうだ」
- 「壊れてから考えよう」
こうした判断が積み重なることで、
故障 → 生産停止 → 納期遅延 → 失注
という負の連鎖を招きます。
🔍 ポイント:
修理対応は一見安く見えるが、長期的には「稼働率低下・歩留まり低下・人件費増加」という“見えない損失”を生む。
■ 2. 売上は維持されても「利益」が落ちている構造
設備更新ができない企業の共通点として、
利益が出にくい体質になっていることが挙げられます。
食品メーカーは、
- 原材料の価格高騰
- エネルギーコスト上昇
- 人件費の上昇
により、粗利率が年々悪化しています。
そのため、利益が積み上がらず
更新資金が残らない
という状況に陥りやすいのです。
さらに追い打ちとなるのが 老朽化設備の隠れコスト です。
● 老朽化設備の隠れコスト
- 歩留まりの低下
- 修理費の増加
- ライン停止による生産ロス
- 電気代の無駄
- 温度管理の不安定化
- 品質のバラつきによるクレーム増加
これらの“目に見えない損失”が、利益をさらに圧迫しています。
■ 3. 人手不足が「設備に人を縛り付ける」
食品製造は人手依存度が高く、
- 包装
- 盛付
- 計量
- 充填
- 品質チェック
など、手作業が多い業界です。
人手不足の中で古い設備を使い続けると、
人が機械に合わせ続ける生産体制になり、生産性が下がります。
● 例:自動計量機がない企業
- 人がずっと計量に張り付く
- 誤差が大きく歩留まりが低下
- 残業増加 → 人件費上昇
- 品質バラつき → クレームリスク増加
🔍 ポイント:
人手不足が続く中で「人に頼る工程」を残していると、企業の成長は止まる。
■ 4. 資金調達の知識が不足している
多くの企業は「補助金や融資をどう使えばいいのかわからない」状態です。
● よくある誤解
- 「補助金は難しくて自社には関係ない」
- 「採択されないと意味がない」
- 「銀行に相談すると断られるかも」
- 「設備投資と融資は別の話」
しかし実際には、
**補助金+つなぎ融資+長期融資の“三位一体”**にすることで、
自己資金を最小限に抑えて設備を更新できるようになります。
スリーウェイの支援でも、
「補助金が通ってから融資相談をする」のではなく、
最初に計画段階から金融機関と連携することで、
圧倒的にスムーズに進みます。
■ 5. 中長期の設備計画が存在しない
設備更新ができない企業の多くは、
「中長期の設備更新計画」が存在しません。
例:
- 冷凍庫はあと2年で寿命
- 盛付ラインは能力不足
- 包装機は故障リスク大
このような状態でも、
・更新優先度
・必要スペック
・更新時期
が整理されていないため、
結果として 突発的に壊れたタイミングで判断する“後追い経営” になります。
🔍 ポイント:
計画のない設備更新=毎回「緊急対応」になり、コストが高くつく。
■ 図解:設備更新できない企業の5つの特徴
【設備更新が進まない企業に共通する5つのポイント】
1. もったいない精神で“修理でつなぐ”
2. 原価高騰・歩留まり低下で利益が残らない
3. 人に依存した工程が多く、人手不足が深刻化
4. 資金調達(補助金/融資)の知識が不足
5. 中長期の設備更新計画が存在しない
→結果:更新できず、老朽化が進み、生産性が低下する悪循環
■ 6. 解決策は「計画 × 補助金 × 融資」
設備が更新できない状況を脱するには、
以下の3つを同時に整える必要があります。
✔ ① 設備更新の中長期計画をつくる
- 壊れる前に更新する
- 投資回収の見通しを立てる
- 優先度をつける
(例:冷凍 → 包装 → 計量 → 盛付の順に更新)
✔ ② 補助金(経産省・農水省)で自己資金負担を軽減
- 省力化投資補助金
- 産地連携緊急対策事業
- HACCPハード事業
- 強い農業づくり交付金
補助率1/2が中心で、設備更新には非常に有効。
✔ ③ 銀行融資(つなぎ+長期)でキャッシュフローを安定化
補助金は「あと払い」なので、つなぎ資金が必須。
→ 405事業で銀行評価が上がる
→ 設備投資融資がスムーズに実行される
■ まとめ
設備を更新できない企業には
**「更新できない構造」**が存在しています。
しかし裏を返せば、
構造を整えれば「設備更新ができる企業」に変われます。
そのために必要なのが、
- 計画
- 補助金
- 融資
この三位一体の資金戦略です。

