
省力化補助金の事業計画書は、
「よく書けていても、審査項目に沿っていなければ落ちる」
という特徴があります。
審査官は感覚ではなく、
審査項目ごとに点数をつけて採点します。
つまり、
審査項目の“逆算”で書けば高得点=採択される。
この記事では公式審査項目(公募要領に記載)を分析し、
落とされない計画書の作り方を5つの視点から徹底解説します。
🎯 審査官が評価する5つの視点
公式審査項目を整理すると、次の5つです。
① 事業の目的適合性
② 課題の明確性・必要性
③ 事業内容の妥当性
④ 効果(省力化・賃上げ)の実現性
⑤ 実施体制と計画の信頼性
この5つの項目に沿って書けば、
“落とされるポイント”を消すことができます。
🔍 ①【目的適合性】
✔ 補助金の目的に合致しているか?
省力化補助金の目的は以下の2つです。
- 省力化(作業時間削減・自動化)
- 賃上げ(年2%以上 or 最低賃金+30円)
📌 書く時のコツ
- 設備導入が省力化につながる「工程」を明確に
- 削減できた時間をどう賃上げ原資に変えるか
- 「省力化=人員削減」は厳禁(評価が下がる)
✔ OK例
省力化により年間1,800時間の削減
→ 新規案件対応へ振替
→ 年500万円の利益増
→ 全社員の基本給を年2%引き上げる
🔍 ②【課題の明確性】
✔ 困っている状況が“数字”で示されているか?
審査官が最も重視する項目です。
📌 必須の3つの数値
① 作業時間(Before→After)
② 不良率
③ 残業時間
✔ OK例(評価される書き方)
現状:1個45分 → 導入後25分(▲44%)
不良率:2.5% → 1.0%
残業:月60時間 → 月10時間へ
✔ NG例(落ちる書き方)
× 「生産性が低い」
× 「人手不足で困っている」
→ 数字がないと評価されない
🔍 ③【事業内容の妥当性】
✔ “本当に”その設備で課題が解決するのか?
審査官は以下を見ています:
- 課題→設備の結び付きが自然か
- 設備の仕様と目的が一致しているか
- 設備の選定根拠が妥当か
📌 書き方のコツ
- 設備の「機能」ではなく「課題解決」を書く
- 同業他社の導入事例があると評価UP
- 図解(工程図・比較表)があると強い
✔ OK例
熟練工でしか調整できない溶接角度を
AI画像解析が代替することで品質が均一化される
🔍 ④【効果の実現性】
✔ 本当に効果が出る計画なのか?
最重要項目です。
📌 審査官が重視するポイント
- 削減時間の積算根拠があるか
- 生産性向上が数値で示されているか
- 賃上げの原資がロジカルか
- 売上・付加価値の予測が無理のない範囲か
✔ OK例
削減工数:月160時間
増加付加価値:年450万円
→ 賃上げ原資として年120万円を確保
✔ NG例
× 「大幅な効率化が見込める」
× 「利益が増えるはず」
→ 根拠がない文章は評価不可。
🔍 ⑤【実施体制・計画の信頼性】
✔ 設備導入後も高い確率で運用できるか?
設備投資は入れて終わりではないため、
審査官は「運用できる体制」を非常に重視します。
📌 審査官が見るポイント
- 経営者の関与(本気度)
- 現場責任者の役割
- 操作教育の仕組み
- 支援機関との連携
- スケジュールの現実性
- リスク管理(納品遅延・教育不足)
✔ OK例
製造部長が教育計画を担当し、
3ヶ月の実地研修を経て全作業員の資格取得を行う。
支援機関と月1回レビューを実施し、
進捗・効果測定・改善を継続する。
🧭 審査項目を踏まえた「落ちない計画書」の型
5つの審査項目をすべてカバーすると、
計画書は自然と採択される構成になります。
★“落とされない計画書”の黄金パターン★
① 現状課題(数字で明確化)
② 課題の原因
③ 解決する設備(課題に直結)
④ 導入後の効果(数値根拠)
⑤ 賃上げの実現シナリオ
⑥ 実施体制と運用計画
📌 最後に:審査項目から書くと“勝てる計画書”になる
審査項目に沿って書くだけで、
計画書の説得力が大きく向上します。
特に重要なのは以下の3つ。
課題の数値化
設備との結び付き
賃上げの根拠
この3つが揃っている計画書は、
採択率がほぼ間違いなく高くなります。


