
■はじめに
中小企業経営者の方からよく聞く質問に、
「補助金と助成金ってどう違うの?」というものがあります。
どちらも“国や自治体からもらえるお金”という点では共通していますが、
実は目的・審査・申請タイミング・難易度が大きく異なります。
本記事では、補助金の基本と助成金との違いをわかりやすく解説します。
■補助金とは?
補助金とは、国や自治体が特定の政策目的を達成するために交付する資金のことです。
例えば、
- 生産性向上(ものづくり補助金)
- 省人化・自動化(省力化投資補助金)
- 販路開拓・経営改善(小規模事業者持続化補助金)
など、企業が「新しい挑戦」を行うための投資を後押しする仕組みです。
つまり、補助金は「これから成長する企業を応援する制度」。
経営者の意欲や計画性が重視されます。
💡補助金の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 設備投資・システム導入・新商品開発など |
| 目的 | 事業の成長・生産性向上 |
| 支給方法 | 後払い(精算払い) |
| 申請方法 | 公募期間内に申請書を提出 |
| 採択率 | 約20〜50%(審査あり) |
⚠️注意
補助金は採択されない可能性がある点がポイントです。
「誰でももらえる」ものではなく、審査に通るかどうかが勝負になります。
■助成金とは?
一方、助成金は、労働環境や雇用条件の改善を目的とした制度です。
代表的なのが「キャリアアップ助成金」「両立支援助成金」など、
厚生労働省が管轄する人材関係の支援です。
💡助成金の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 雇用・人材育成・働き方改革など |
| 目的 | 雇用安定・人材育成 |
| 支給方法 | 条件を満たせば原則支給 |
| 申請方法 | 随時受付が多い |
| 採択率 | 高い(条件を満たせばほぼ100%) |
助成金は「取り組みを実施したら受け取れる給付金」であり、
計画書と実績報告の整合性が重視されます。
■補助金と助成金の違いまとめ
| 比較項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 管轄 | 経済産業省・中小企業庁など | 厚生労働省 |
| 主な目的 | 設備投資・事業成長 | 雇用・人材育成 |
| 審査 | あり(競争制) | なし(条件達成型) |
| 支給時期 | 事業実施後(後払い) | 条件達成後 |
| 採択率 | 20〜50% | ほぼ100% |
| 難易度 | 高い | 低い |
| 活用例 | 機械導入、DX推進、新規事業 | 正社員登用、研修制度整備 |
■補助金を活用するメリット
- 設備投資リスクを軽減できる
新しい設備やシステム導入にかかるコストの最大1/2〜2/3を補助。
初期投資を抑えて生産性を上げることが可能です。 - 金融機関の信頼度が上がる
採択=第三者による“事業計画の妥当性”が認められた証。
融資審査や取引先からの信用にもつながります。 - 経営計画を見直す機会になる
補助金申請書は“ミニ経営計画書”。
経営課題を整理するきっかけになり、事業方針が明確になります。
■補助金活用の基本ステップ
補助金は「申請して終わり」ではありません。
実際には以下の5ステップで進みます。
【補助金活用の流れ】
- 情報収集(公募要領の確認)
- 申請書の作成(経営課題・投資目的を明確に)
- 審査・採択(採択率20〜50%)
- 交付申請・事業実施(設備購入・支払)
- 実績報告・入金(審査後に補助金が振込)
■まとめ
補助金と助成金はどちらも中小企業の強い味方ですが、
目的も申請方法も大きく異なります。
- 事業の成長投資 → 補助金
- 雇用・人材への投資 → 助成金
と覚えておくと整理しやすいでしょう。

