
事業を立ち上げる際、避けて通れないのが「資金調達」です。特に創業期の企業や新規事業を開始する際には、自己資金だけで事業を運営するのは難しく、外部からの資金調達が欠かせません。
では、どうすれば金融機関や投資家から信頼され、必要な資金を確保できるのでしょうか。その鍵となるのが「事業計画書」の作成です。
本記事では、資金調達の成功率を高めるための事業計画書の役割や作成手順、計画に盛り込むべきポイントについて、わかりやすく解説します。
事業計画書とは?資金調達における役割
事業計画書とは、事業の内容やビジネスモデル、今後の展開、収支見込みなどをまとめた文書です。以下の2つの役割を持ちます。
1. 自社の構想を「見える化」する
事業の全体像を整理し、目標や課題、将来像を明確にすることで、経営判断の土台を築くことができます。
2. 外部への「説明責任」を果たす
金融機関や投資家に対して、資金調達の必要性・使途・返済計画を伝える資料となります。信頼を獲得するためには、数値と根拠をもとに現実的かつ説得力のある内容にすることが不可欠です。
図解:事業計画書と資金調達計画書の違い
┌────────────┬────────────────────┐
│ 項目 │ 内容 │
├────────────┼────────────────────┤
│事業計画書 │ 事業の全体像、市場、競合、収支計画等 │
│資金調達計画書 │ 資金の使途、調達方法、返済計画 │
└────────────┴────────────────────┘
資金調達計画を立てる5つのステップ
資金調達を成功させるためには、準備段階から計画的に進めることが大切です。
ステップ1:資金の使い道を明確にする
まずは調達した資金を何に使うのか、目的をはっきりさせましょう。
- 設備投資(機械導入、店舗改装)
- 運転資金(仕入れ、人件費)
- 広告費、新規事業開発費 など
ステップ2:資金の種類を分類する
【資金の分類】
┌────────┬──────────────────────┐
│ 運転資金 │ 日常の事業運営に必要な資金 │
│ 設備資金 │ 固定資産の購入・更新にかかる資金 │
│ その他の資金 │ 広告、開発、採用など一時的な出費 │
└────────┴──────────────────────┘
分類ごとに必要額を算出して、資金の全体像を構築します。
ステップ3:必要金額を具体的に算出する
売上、仕入れ、人件費などの見積りを元に、必要金額を明確にしましょう。見積書や過去データがあると信頼性が高まります。
ステップ4:資金調達手段を選ぶ
調達方法には、以下のような選択肢があります。
- 銀行融資(信用保証協会付き、プロパー融資)
- 政府系金融機関(日本政策金融公庫など)
- ベンチャーキャピタル(VC)
- クラウドファンディング
- 補助金や助成金の活用
目的と事業ステージに応じて、複数の手段を組み合わせることも検討しましょう。
ステップ5:資金調達計画書を作成する
これまでの内容をもとに、次の項目を含む資金調達計画書を作成します。
- 資金の使途と内訳
- 調達方法とスケジュール
- 返済または出資条件
- キャッシュフロー見通し
成功する資金調達のための5つのポイント
- 目的を明確にする
何のために資金を使うのかを具体的に示すことで、調達の説得力が増します。 - 自己資金も投入する
全額を借入に頼るより、自己資金を一定割合投入する方が金融機関の評価は高くなります。 - 現実的な数値を提示する
収益見込みは楽観的になりすぎず、実績や根拠をもとに設定します。 - スケジュールを組む
調達から運用、返済に至るまでの流れを時系列で整理しておくと、事業の見通しが伝わりやすくなります。 - 親族や友人からの借入は慎重に
返済トラブルが人間関係に影響するリスクを伴うため、正式な契約書を交わすことが重要です。
まとめ
資金調達は、事業成功への重要なステップです。適切な事業計画書と資金調達計画書を整えることで、金融機関や投資家からの信頼を得やすくなり、資金調達の成功確率が高まります。
無理なく、着実に実行可能な計画を立て、自信を持って事業を前に進めましょう。