省力化補助金(一般型)は、2025年に入り「第1回・第2回」の採択結果が公開され、
そこから 採択される計画書の共通点 がより明確になってきました。

本記事では、採択結果データをもとに、
「どんな計画書が通るのか?」
「逆に何が原因で落ちるのか?」をわかりやすく解説します。


【1】採択企業の共通点①

課題 → 設備 → 効果 が“完全に一本の線でつながっている”

採択企業の計画書を分析すると、最も顕著なのがこれです。

▼採択される計画書に必ず入っている流れ

  1. 現場のボトルネックを数値で示す
  2. その課題を解決できる設備を導入
  3. Before→After を数値で明確化

▼実際の採択例の傾向

  • Before 45分 → After 10分(▲78%)
  • 月間工数削減 80時間以上
  • 年間1,000時間削減が目安として多い

数字の裏付けが強い申請ほど高評価を得ています。


【2】採択企業の共通点②

“省力化に直結する設備”が選定されている

第1回・第2回の不採択案件で多かったのが、
設備が省力化に直接つながっていない申請です。

▼採択された設備の傾向

  • 自動化ロボット
  • 自動検査ライン
  • AI画像検査装置
  • 自動包装機
  • IoT工程管理

▼不採択になりやすい設備

  • 自社ECサイト制作
  • 防犯カメラ
  • パソコン・タブレット
  • 会計ソフト
  • デザイン制作物
    → 省力化と関係が弱いと判断されやすい

採択企業は「人の作業を置き換える設備」に集中しています。


【3】採択企業の共通点③

効果が“工数削減&増産”の両方を入れている

省力化補助金は名称のとおり
「省力化(人手不足解消)」が最重要目的ですが、
採択企業の多くは “増産(付加価値向上)” も同時に示しています。


▼採択される効果の出し方の特徴

  • 工数削減(時間削減)
  • 不良率改善
  • 残業削減
  • 増産による粗利増加

単一効果より、複数効果の組み合わせが評価されやすい傾向があります。

▼実際の採択企業の例

  • 年間工数削減:800時間
  • 不良率:2.5% → 1.0%
  • 増産による粗利:年700万円増

「省力化 × 収益改善」のセットが強いです。


【4】採択企業の共通点④

賃上げ計画が“根拠あり”で書かれている(要綱準拠)

審査官が強く重視するポイントのひとつが 賃上げ要件 です。
採択された企業の多くは、賃上げ計画を“数値で説明”しています。


▼要綱の賃上げ要件

① 給与支給総額の年平均成長率 +2.0%以上
または
② 1人当たり給与支給総額の年平均成長率が
都道府県最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上

かつ
③ 事業場内最低賃金が最低賃金+30円以上


▼採択企業の書き方の特徴

  • 省力化効果の金額 → 賃上げ原資として明示
  • 賃上げ対象者数が明確
  • 基本給UPか手当UPかを定義
  • 過去の給与推移も参考に記載

「なぜ賃上げができるのか」の根拠が強いほど採択率は上がります。


【5】採択企業の共通点⑤

実施体制(運用体制)が“現実的かつ具体的”

第1回・第2回の不採択理由で多かったのが、
「運用できる実施体制が弱い」という指摘です。


▼採択企業が書いていたポイント

  • 現場責任者の明確化
  • 操作研修・教育のスケジュール
  • 故障対応の体制
  • 効果測定の方法(稼働率・削減時間)
  • 月次レビューの実施(経営×現場)

審査官は「設備買って終わり」にならないかを厳しく見ています。


【まとめ】

第1回・第2回の傾向からわかる“勝てる計画書の5つの特徴”

✔ 採択企業に共通するポイント

  1. 課題 → 設備 → 効果 が一本の線でつながっている
  2. 設備が現場の省力化に直結している
  3. 工数削減・不良改善・増産の効果を数値で示している
  4. 賃上げ計画の根拠が定量的に書かれている
  5. 実施体制が具体的で、教育・運用まで見えている

これらを押さえて計画書を作れば “勝てる構成” が完成します。