「申請したけれど落ちてしまった…」
「何をどう書けば採択されるのかわからない…」

——そんな声が多いのが「中小企業省力化投資補助金(一般型)」です。
この補助金は、単に“設備を導入したい”では採択されません。
審査官が求めているのは、省力化によって賃上げと付加価値向上を実現する計画です。

この記事では、中小機構の公式ガイドと過去採択事例をもとに、
採択される事業計画書の書き方を5つのステップで解説します。


1.ステップ①:現状分析 ― 自社のボトルネックを明確にする

最初のステップは「現状を客観的に把握する」こと。
多くの不採択案件は、「なぜこの設備が必要なのか」が伝わっていません。

🔍 書くべきポイント

  • 自社の業種・規模・主要取引先・従業員構成
  • 業務フロー上の非効率箇所(手作業・属人化・ミス・残業)
  • 労働生産性(=付加価値額 ÷ 従業員数)の現状値
  • 課題が放置されるとどうなるか(機会損失・コスト増など)

💡 図や表で「現状フロー」を見せると説得力が増します。


2.ステップ②:課題設定 ― 「人手不足」と「生産性」の両面で語る

課題を「人が足りない」だけで終わらせると減点対象です。
採択される計画は、**「生産性向上」と「付加価値創出」**の両方を意識しています。

🧩 記載例

現在、熟練作業者3名が部品溶接を手作業で行っているが、
1人あたりの生産量は日40個と限界に近く、納期対応が困難。
一方でAI溶接ロボット導入により、日60個へ生産増が可能となり、
新規受注への対応力を高めることができる。


3.ステップ③:解決策(省力化投資の内容)を“自社仕様”で説明する

次に「どのような設備・システムを導入するのか」を記載します。
審査では“汎用品購入”よりも、自社課題にカスタマイズされた投資が高く評価されます。

🧠 書き方のポイント

  • 「AI検査装置」など抽象的名称でなく、具体的な機能・導入目的を書く
  • 組み合わせ導入(例:カメラ+搬送装置+制御システム)は高評価
  • 他社導入実績や専門ベンダーの見積・提案書を添付

💬 記載例

自動ラベル貼付機と画像検査システムを連動させ、
作業員1名で品質確認まで完結する工程を構築。
月間誤出荷率0.3%→0.05%へ改善を見込む。


4.ステップ④:効果数値を根拠付きで示す(ここが最重要!)

採択率を大きく左右するのが「効果の根拠」です。
労働生産性・給与支給総額の伸び率を数値で説明しましょう。

📊 書き方のコツ

項目書く内容の例
労働生産性付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)をベースに、年+4%以上を設定
給与支給総額ベースアップ・賞与・人材育成費を含め、年+2%以上を計画
時間削減効果作業時間○%削減、人員再配置による新事業売上○万円

💡 計算根拠をExcel等で添付すると信頼性が向上します。
(※「事業計画書その3」様式の自動算出機能を活用)


5.ステップ⑤:実行体制・スケジュールを具体的に書く

最後に、「誰が・いつ・どうやって実行するか」を明記します。
“計画倒れにならない会社”であることを示すことが採択の鍵です。

📅 書くべき内容

  • 設備導入スケジュール(例:2025年3月発注→5月稼働)
  • 経営者・担当者・支援機関の役割分担
  • 設備稼働後の教育・運用・フォロー体制
  • リスク対応(納期遅延・効果未達時の改善策)

💬 記載例

導入後3か月間は試運転・操作研修を実施し、
作業員の操作スキルを平準化。
その後、品質・納期・人件費指標を毎月モニタリングする。


🖼️ 【図解提案】

「採択される事業計画書 5ステップ」

現状分析
 ↓
課題設定(生産性+賃上げ)
 ↓
解決策(省力化設備)
 ↓
効果数値(根拠付き)
 ↓
実行体制(誰が・いつ・どう動く)

✅ まとめ:ストーリーでつなぐことが採択への近道

採択される事業計画には**共通の“流れ”**があります。

現状課題 → 省力化投資 → 効果 → 賃上げ・再投資

単に「機械を入れたい」ではなく、
「この投資でどう利益を生み、社員を豊かにできるか」という物語を描くこと。
それが審査官に伝わる“強い計画書”です。