小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)は、事業の成長を後押しする国の代表的な支援制度です。ホームページ制作や販促活動、新商品開発など、売上拡大を目的とした取り組みに対して補助金が交付されます。

この制度は、個人事業主と法人のどちらでも申請できますが、申請にあたっては事業形態ごとに異なる要件や注意点があります。本記事では、申請に必要な基本条件と、個人・法人別のポイントを詳しく解説します。


補助金の基本情報

項目内容
補助上限額原則50万円(特例により最大200万円まで拡大の可能性あり)
補助率2/3(インボイス特例適用事業者は3/4)
対象事業販路開拓、業務効率化など売上増加に資する取組み
対象者小規模事業者(個人・法人いずれも可)

個人事業主が申請する場合のポイント

✅ 対象となる条件

  • 開業届を提出していること(税務署への届出が必要)
  • 常時使用する従業員数が商業・サービス業は5名以下、製造業その他は20名以下
  • 医師・歯科医師・助産師・宗教法人など一部業種は対象外

🔍 注意点

  • 「開業届」がない場合は申請不可
  • 家内労働や副業的な活動では対象外となることもあるため、事業実態があることが重要

法人が申請する場合のポイント

✅ 対象となる条件

  • 株式会社、合同会社、合資会社などの法人格を持つ企業
  • 常時使用する従業員数が以下の通りであること
     ┗ 商業・サービス業:5名以下
     ┗ 製造業その他:20名以下

❌ 対象外となる法人例

  • 医療法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人など
  • 一部の非営利活動を目的とした法人

共通の申請要件と注意点

申請者の事業形態にかかわらず、次の点は共通で重要です。

項目解説
📌 対象事業の明確化「販路開拓」または「業務効率化」に該当する事業であること
📌 最新の公募要領の確認毎年、補助内容や要件に変更があるため、最新版を必ず確認
📌 書類の不備に注意申請書、事業計画書、見積書など必要書類に不備がないようにする
📌 商工会議所・商工会との連携原則として、申請には所属する商工会等の事前確認が必要

よくある質問(FAQ)

Q1. 開業届を出していないが申請できる?

➡ できません。税務署への開業届が必須です。

Q2. 医療法人やNPO法人でも申請できる?

➡ 原則対象外です。ただし、法人の事業内容によっては例外的に認められるケースもあるため、事前確認が必要です。

Q3. 従業員が21人いるが申請できる?

➡ 対象外です。上限は原則20名(商業・サービス業は5名)です。

図解:申請可否のフローチャート

開業届を出しているか?─→ NO ─→ 対象外

       │YES
       ↓

常時使用従業員数が基準内か?─→ NO ─→ 対象外

       │YES
       ↓

法人格または業種が対象範囲内か?─→ NO ─→ 対象外
│YES

申請可能


申請までの一般的な流れ

  1. 公募要領の確認
     最新の公募情報を公式サイトから確認しましょう。
  2. 申請書類の作成
     事業計画書や経費明細、証拠資料を準備します。
  3. 商工会・商工会議所の事前確認
     提出前に所属団体で事業計画の確認を受けます。
  4. 申請書の提出
     締切までに郵送または電子申請で提出します。
  5. 審査・採択
     審査の結果、採択通知が届きます。
  6. 事業の実施と報告
     補助対象事業を実施し、実績報告書を提出します。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、個人事業主・法人を問わず、多くの小規模企業にとって活用価値の高い制度です。しかし、対象となる条件や申請要件を正確に把握することが重要です。

  • 申請前には、必ず最新の公募要領を確認
  • 自社が対象となるかを事業形態・業種・従業員数の観点からチェック
  • 不安があれば、専門家や商工会議所に相談することをおすすめします