~中小企業のDXを支援する有効な制度とは~

「業務をクラウド化したいけど、コストが心配…」そんな中小企業にとって、ものづくり補助金は強力な支援策です。
実はこの補助金、クラウドサービスの導入や利用費にも適用できるケースがあることをご存じでしょうか?

この記事では、補助金の基本から、クラウド利用に関する対象経費、申請のポイント、活用事例までをわかりやすく解説します。


ものづくり補助金とは?

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
中小企業や小規模事業者が行う生産性向上や業務改革、新製品・新サービスの開発に対し、経費の一部を国が補助します。

項目内容
補助額最大1,250万円(類型によって異なる)
補助率通常2/3(小規模事業者は3/4の場合も)
対象業種製造業、サービス業、小売業など広範囲
補助対象経費設備投資、ソフトウェア開発、外注費など

クラウド利用費も補助の対象に

意外に思われるかもしれませんが、クラウドサービスに関連する費用も、一定の条件を満たせば補助対象になります。

対象となるクラウド関連経費の例

経費区分内容例
初期費用クラウド導入時の設定費用、環境構築、アカウント開設など
月額利用料契約期間中のSaaS、PaaS、IaaSの利用料金
通信費クラウド接続に必要な専用回線やVPNの利用費
外注・開発費クラウド上で稼働するシステムの設計・開発・実装費

ただし、汎用的なツールや業務支援目的にとどまる利用は対象外になることもあるため、申請前に公募要領や専門家と確認することが大切です。


▼図解:クラウド活用 × 補助対象のイメージ

【クラウド活用内容】    → 【補助対象となる可能性】
・業務システムのSaaS移行 → 〇 月額利用料
・データ共有のクラウド化 → 〇 初期導入費、設定費
・遠隔勤務の通信強化   → 〇 専用回線利用費
・既存システムの再構築  → 〇 クラウド環境での再設計
・単なるストレージ契約  → × 汎用利用とみなされる恐れあり

申請対象となる企業と要件

補助金申請には、次のような要件があります。

  • 創業済みであること(法人・個人事業問わず)
  • 中小企業・小規模事業者であること(業種ごとに資本金・従業員数要件あり)
  • 賃金引上げ計画を策定し、従業員に表明していること

さらに、提出する事業計画が、「生産性向上」「革新性」「地域経済への貢献」といった審査基準を満たしていることも必要です。


活用事例:クラウドを使った補助金採択例

実際に、クラウド利用を含む取り組みで採択された事例をご紹介します。

✅ 行動予定・シフト管理システムのクラウド化

社員の行動計画をリアルタイムで把握・管理できるシステムをクラウド上で構築し、業務効率と情報共有力を大幅に向上。

✅ レンタルオフィスの管理業務のクラウド化

予約管理、入退室記録、契約書類の電子化をクラウドで一元化し、コスト削減とユーザー満足度の両立を実現。

✅ 海外向けスマートフォンアプリの運営支援

クラウドベースのアプリ運用基盤を構築し、現地ユーザーの利用データを収集・分析してUI改善へ活用。


採択のポイント:計画の「中身」が勝負

申請時に押さえるべき重要な視点は以下の4点です。

観点内容例
革新性クラウド導入により新たな業務体制・サービス展開が可能になるか
実現可能性スケジュール、体制、資金計画が整っており、確実に実行できるか
数値目標生産性向上、顧客獲得率、業務時間削減などの定量的KPIを設定しているか
地域性・波及性地域雇用、DX促進、他企業への影響などの波及効果を記載できているか

専門家の活用と申請の流れ

申請手続きには多くの書類作成と制度理解が求められるため、中小企業診断士や補助金コンサルタントへの相談がおすすめです。

▼申請の基本的な流れ

  1. 補助金公募情報を確認
  2. 認定支援機関と相談・計画書の作成
  3. 電子申請(Jグランツなどを使用)
  4. 審査・採択通知
  5. 事業実施 → 実績報告 → 補助金交付

まとめ:クラウド活用と補助金で、事業の未来を広げる

クラウドサービスは、今や企業成長に欠かせないインフラのひとつです。
ものづくり補助金を活用することで、導入コストを抑えつつ、業務改革やサービス開発を加速させることができます。


✅ 成功へのポイントおさらい

  • クラウド活用は補助対象になる(要確認)
  • 生産性向上・革新性を具体的に計画書に落とし込む
  • 申請書は専門家と連携して精度を高める

補助金を賢く活用して、自社のDXを次のステージへ。
クラウド導入を検討している事業者の方は、ぜひ一度「ものづくり補助金」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。