
~対象外設備との違いも図解でわかりやすく~
中小企業の設備投資や新製品開発を後押しする「ものづくり補助金」。
事業計画の立案や申請準備を進める中で、**「どの設備が補助の対象になるのか?」**という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、補助金の制度概要から、対象となる設備・対象外となる設備の理由までをわかりやすく解説します。
ものづくり補助金とは?
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
中小企業や小規模事業者が行う生産性向上、新製品開発、業務プロセス革新などに必要な設備投資や技術導入を支援する制度です。
- 補助額:最大1,250万円(通常枠は1000万円程度)
- 補助率:通常2/3(条件により変動あり)
- 対象業種:製造業、サービス業、IT関連など幅広い業種
対象外設備とは?
申請の際に最も注意が必要なのが、対象外とされる設備の存在です。
制度上、以下のような**「汎用性が高い設備」**は補助対象外とされています。
▼図解:対象外となる主な設備
設備例 | 対象外理由 |
---|---|
建物(事務所・倉庫) | 他の事業や用途にも流用できるため |
自動車(営業車など) | 業務以外への使用リスクがある |
パソコン・タブレット | 個人利用や他業務への転用が容易 |
エアコン・冷蔵庫 | 汎用設備であり、補助事業への専属性が乏しい |
これらの設備は、補助事業だけでなく他の用途でも使える可能性があるため、不正利用や管理の不透明化を避けるために原則除外されています。
対象となる設備や経費
一方、補助対象として認められているのは、補助事業に直接関連し、他用途への転用リスクが低いものです。
主な補助対象経費
経費項目 | 内容例 |
---|---|
機械装置費 | 製品加工用の専用機械、装置、自社開発の生産ラインなど |
材料費 | 新製品試作や技術検証のための原材料・部品など |
技術導入費 | 特許使用料、技術移転費用、外部技術導入に伴う費用 |
外注加工費 | 自社で行えない特殊加工の外部委託費用 |
委託費 | 調査・研究の外部委託、システム設計などの専門業務 |
直接人件費 | 新製品開発や設備導入に直接関わるスタッフの労務費 |
これらはすべて、補助事業の目的達成に密接に関係し、成果物の管理もしやすいという点で補助対象に該当します。
よくある質問とその理由
Q1. なぜパソコンや建物は対象外なの?
A. これらの設備はどの事業にも使える=汎用性が高いと判断されるためです。
たとえば、補助金で購入したパソコンが補助事業以外でも自由に使われてしまうと、補助金の適正使用が担保できないため、対象外とされます。
Q2. 対象外設備を使いたい場合はどうすれば?
A. 自社負担での購入は可能ですが、補助対象経費には含められません。補助事業に必要であっても、申請時に区別しておく必要があります。
補助金活用のためのポイント
補助金を最大限に活用するには、対象設備と対象外設備の区別を明確にすることが前提です。そのうえで、申請書の中で以下の視点を意識しましょう。
1. 専用性の明示
導入予定の設備が補助事業の成果創出にどのように関わるかを明確に説明する。
2. 転用リスクの低さ
「他事業では使えない専用設計である」「補助事業にのみ使用する」といった点を強調する。
3. 成果との関係性
導入によって、具体的にどのような売上向上・業務改善・新製品開発が期待できるのかを数値で示す。
まとめ:補助対象設備を理解し、効果的な申請を
ものづくり補助金は、中小企業にとって貴重な成長資金です。しかし、補助対象外の設備を申請してしまうと、採択の可能性が大きく下がるため、制度のルールを正しく理解することが重要です。
✅ 最後にチェックすべき3つのポイント
- 対象設備かどうか、公募要領で必ず確認
- 汎用性の高い設備は補助対象外
- 導入目的と効果を具体的に示すことで審査通過の可能性アップ
設備投資や技術開発に補助金を活用し、事業の飛躍に繋げたい方は、まずは対象設備の把握と計画書の戦略的な構築から始めてみましょう。