
近年、地震・台風・豪雨などの自然災害や感染症、サイバー攻撃など、企業活動を脅かすリスクが増加しています。こうした緊急事態に備えるために欠かせないのが BCP(Business Continuity Plan)=事業継続計画 です。
本記事では、BCPの概要から策定方法、メリット、実務に活かせるポイントまでをわかりやすく解説します。
1. BCPの概要 — なぜ必要か?
BCPとは、災害や事故などの非常事態が発生した際に、事業をできる限り継続し、早期に復旧するための計画書です。目的は、業務停止期間を最小限に抑え、企業活動の影響を軽減することにあります。
想定される主なリスク
- 地震・台風・洪水などの自然災害
- 感染症の流行(例:新型コロナウイルス)
- サイバー攻撃やシステム障害
- テロ、重大事故、社内不祥事
2. BCMとの違い
項目 | 内容 |
---|---|
BCP | 実行するための計画書 |
BCM | BCPを策定・運用・改善するための体制全体 |
BCMは「BCPを育てる仕組み」であり、定期訓練や見直しを含めたマネジメント活動です。
3. 防災計画との違い
計画 | フォーカス |
---|---|
防災計画 | 被害を未然に防ぐ(事前対策) |
BCP | 被害発生後の事業継続と早期復旧(事後対策) |
両者は補完関係にあり、併せて整備することが重要です。
4. 日本企業のBCP導入状況と課題
調査によると、大企業の約3割がBCPを策定済みである一方、中小企業では1〜2割程度にとどまります。
中小企業の課題としては、
- 専門知識や人材不足
- 担当部署のリソース不足
- 策定の優先順位が低い
といった点が挙げられます。
5. BCPが必要とされる背景
- 自然災害の頻発:日本は世界有数の災害多発国
- 社会環境の変化:感染症流行によりリモートワークや事業分散の必要性が高まった
- 顧客や取引先からの要請:安定した供給体制を求められるケースが増加
6. BCP策定のメリット
- 緊急時の迅速対応:混乱を抑え、業務継続を確保
- 顧客・取引先の信頼維持:事業再開の速さが評価に直結
- 企業の信用力向上:社会的責任を果たしている印象を与える
- 業務改善の機会:策定過程で業務の棚卸しや効率化が進む
7. BCP策定の進め方(図解付き)
以下の流れで策定を進めるのが一般的です。
[基本方針の策定]
↓
[社内体制の構築]
↓
[業務の優先順位付け]
↓
[具体的対策の策定]
↓
[発動基準・体制の明確化]
↓
[社内浸透と訓練]
↓
[定期的な見直し]
ステップ詳細
- 基本方針の策定
対象リスクや目的を明確にし、経営方針と整合を取る - 社内体制の構築
プロジェクトチームを設置し、総務・IT・現場部門など関係者を巻き込む - 業務の優先順位付け
中核業務を特定し、復旧優先度を設定 - 具体対策の策定
代替手段や復旧時間目標(RTO)を設定 - 発動基準と責任分担
どのタイミングで誰が何をするのかを明記 - 社内訓練と周知
定期的な訓練で浸透を図る - 定期見直し
環境変化に合わせて更新
8. 実効性を高めるためのポイント
- 政府や自治体が公開するガイドライン・テンプレートの活用
- まずは中核業務に限定して着手し、段階的に拡充
- 業務の平常時からの可視化とバックアップ体制の構築
- ISO 22301など国際基準を参考に信頼性を向上
9. 成功事例の一例
あるIT企業では、BCPの一環としてテレワーク体制とクラウド型業務システムを整備。
実際に地震で交通網が麻痺した際も、全社員が自宅から業務を継続でき、顧客対応に遅れが出ませんでした。これにより、取引先からの信頼が一層高まりました。
10. まとめ
BCPは、単なる「もしもの備え」ではなく、企業の存続と成長を支える基盤です。
策定を通じて業務の見直しや効率化も進み、結果的に平常時の競争力向上にもつながります。
まずは現状のリスク把握と、中核業務の優先順位付けから着手し、「止まらない企業」を目指しましょう。