日々の業務の中で「問題の本質が見えない」「原因が複雑すぎて整理できない」と感じることはありませんか?
そんな場面で役立つのが、問題の構造を図解で明らかにする「連関図法(Relation Diagram)」です。

特に人事、営業、企画といった多くの言語情報を扱う部門で効果を発揮し、チームでの「なぜなぜ分析」を視覚的にサポート。
本記事では、連関図法の基本から活用方法、テンプレートの使い方や実際の事例までをわかりやすくご紹介します。


連関図法とは?

問題と原因のつながりを“構造化”する手法

連関図法は「新QC七つ道具」の一つであり、複数の原因とその関係性を可視化することで、課題の根本原因(真因)を特定するためのツールです。

連関図のイメージ図:

            ┌────────────┐
│ 問題(テーマ)     │
└────────────┘

┌─────┬─────┐
↓ ↓ ↓
一次原因A 一次原因B 一次原因C
↑ ↑ ↑
二次原因A1 二次原因B1 二次原因C1

連関図法が活きる3つのシーン

  • 複雑な問題の原因が多すぎて混乱している
  • 会議で課題を共有し、納得感ある議論をしたい
  • “なぜなぜ分析”が深まらず、対策が曖昧になっている

たとえば、「顧客対応が遅い」「売上が伸びない」「社内コミュニケーションが不足している」といったテーマに対して、多角的な要因が関与している場合、連関図法が有効です。


連関図法の進め方:5つのステップで実践

STEP1:テーマの明確化

分析の起点となる「問題」を簡潔に記述します。
例:「顧客対応が遅延している」「生産性が低下している」

STEP2:原因の洗い出し

関係者でブレインストーミングを行い、思いつく原因をすべて出します。

  • 体言止めは避ける(例:「情報共有の不足」ではなく「情報共有ができていない」)
  • 1枚1要因を意識し、付箋やツールを活用するのが効果的です。

STEP3:図の中央にテーマを配置

模造紙やホワイトボード、オンラインツール(例:Miro, Jamboardなど)にテーマを中央に配置し、そこから放射状に図を展開します。

STEP4:因果関係を整理

矢印を用いて「原因→結果」の流れをつなげ、1次→2次→3次と深掘りします。

STEP5:主要因を特定

全体を俯瞰して、テーマに強く影響している要素(=真因)を選びます。太枠や色を変えて、見やすく強調すると良いでしょう。


活用テンプレートの例:顧客対応遅延のケース

分類内容
テーマ顧客対応が遅れている
一次原因担当者の業務量が多い、連携ミスがある
二次原因情報共有不足、属人化した業務
三次原因マニュアル未整備、教育が不十分
主要因マニュアル整備と教育体制の欠如

このように「構造」と「関係性」を図解することで、チーム内の共通理解が深まり、解決への道筋が明確になります。


活用事例:3S活動の停滞を打破した成功例

テーマ:3S(整理・整頓・清掃)活動が進まない

連関図法による分析では、次のような原因が浮かび上がりました。

  • リーダー教育が不十分
  • メンバー教育が行き届いていない
  • 会議の目的が不明確で時間管理が甘い

これらを主要因として特定し、以下の改善策を実行:

  • 教育プログラムの再構築
  • 進捗確認会議の設計見直し

結果、活動の定着率が大きく向上し、部門全体の業務改善が進展しました。


活用ツール:デジタルでも簡単に作成可能

ツール名特徴
Miroオンライン共同編集が可能なホワイトボード型
Google JamboardGoogleアカウントで無料使用可能
Canva図解テンプレートが豊富でビジュアルに強い
Lucidchart高機能で複雑な図解も柔軟に作成可能

※付箋+模造紙も、アナログながら有効です。


まとめ:連関図法で“チームの課題解決力”を高めよう

連関図法は、複雑な問題の原因と構造を「見える化」することで、以下の効果をもたらします。

  • 問題の本質をつかみやすくなる
  • チームでの建設的な議論がしやすくなる
  • 対策が具体的かつ実行可能になる

多くの業種・職種において活用できる汎用性の高い手法です。
定例会議やプロジェクト振り返りの中で、ぜひ取り入れてみてください。