
自社の商品やサービスが競合に埋もれてしまい、なかなか顧客の選択肢に入らない——そんな課題を抱える企業にとって、有効な解決手段が「ポジショニングマップ」の活用です。
ポジショニングマップは、自社と競合の“市場での立ち位置”を視覚的に整理し、差別化戦略や新たな市場機会を導き出すフレームワークです。この記事では、ポジショニングマップの基本から活用方法、注意点までをわかりやすく解説します。
ポジショニングマップとは?
ポジショニングマップとは、2つの評価軸(例:価格×品質など)を用いて、自社や競合の製品・サービスをマッピングする手法です。縦軸と横軸にKBF(Key Buying Factor:購買決定要因)を設定し、視覚的に差別化ポイントや市場の空白地帯を発見できます。
ポジショニングマップのメリット
活用目的 | 内容 |
---|---|
市場構造の把握 | 自社と競合の位置関係を視覚化し、全体像を理解できる |
差別化戦略の構築 | 他社と異なる立ち位置を明確にして、独自性を訴求できる |
空白市場の発見 | 競合のいないエリアを見つけ、新規市場開拓のヒントになる |
商品開発への活用 | 顧客ニーズに合致するポジションを明確に設定できる |
作成ステップ|4つのプロセスでマップを構築
① 自社と競合を洗い出す
まずは自社と競合の製品・サービスをリストアップします。以下のような項目を整理しましょう:
- 対象顧客層(例:30代ビジネスマン向けなど)
- 提供価値(価格、品質、ブランドなど)
- 強み・弱み(機能性、サポート体制、販路など)
② KBF(購買決定要因)を抽出
顧客が商品を選ぶ際に重視する要素を把握します。
主なKBFの例:
- 価格(高価格/低価格)
- 品質(高性能/使いやすさ)
- デザイン(シンプル/派手)
- サポート体制(有人対応/無人対応)
- 口コミ・レビュー評価
- ブランド信頼性
調査方法:
- 顧客アンケートやインタビュー
- SNSやレビューサイトの分析
- 営業現場のヒアリング
③ 評価軸を選定する
KBFの中から、2つの評価軸を選定します。
ポイント:
- 顧客視点で判断に使われている軸を選ぶ
- 自社の強みをアピールできる軸を含める
- 2軸が独立している(相関性が低い)こと
❌ NGな例:「価格 × コスパ」「品質 × 耐久性」
⭕ OKな例:「価格 × サポート」「デザイン × 利便性」
④ マッピングと分析
選んだ2軸でマップを作成し、各社の位置をプロットします。作成にはExcelやCanvaなどの無料ツールが便利です。
分析視点:
- 自社はどの領域に位置しているか?
- 競合と重なっていないか?
- 空白地帯(競合のいない場所)はあるか?
空白地帯はビジネスチャンス
ポジショニングマップ上の「空白地帯」は、競合が少ないニッチ市場である可能性があります。ただし、そこに需要がないケースもあるため、以下を確認することが重要です。
- 顧客ニーズが本当に存在するか?
- 価格帯や機能が市場に受け入れられるか?
- 自社の強みを生かせるか?
市場調査やテストマーケティングを通じて、空白地帯の可能性を見極めましょう。
活用ツール一覧
ツール | 特徴 |
---|---|
Excel / PowerPoint | 手軽に作成可能。社内資料に最適 |
Canva | 見栄え重視のビジュアル作成に便利 |
Notion | チームでの共有・議論に適している |
Tableau / GDS | 高度な分析やリアルタイム連携が可能 |
事例紹介:ポジショニングマップの実践例
例① 家電メーカーの空白市場戦略
- 評価軸:価格 × デザイン
- 競合が「高価格×高機能」や「低価格×簡素デザイン」に集中
- 自社は「中価格×おしゃれなデザイン」の空白地帯を狙いヒット商品を開発
例② 地域密着型スーパー
- 評価軸:価格 × 接客満足度
- 大手チェーンは低価格を武器に拡大
- 地域スーパーは「中価格×高接客品質」に特化し、固定客を獲得
まとめ:自社の“立ち位置”を武器に変える
ポジショニングマップは、自社の強みや顧客価値を可視化し、戦略を明確にするための強力なツールです。競争が激しい市場環境において、以下の点を押さえることで成果に直結する戦略設計が可能となります。
✅ 顧客のKBFを理解し
✅ 適切な軸を設定し
✅ 空白市場を見逃さない
自社ならではの立ち位置を見つけ、競合と差別化されたマーケティング戦略を展開しましょう。