
― 信頼できる専門家の見分け方
■ はじめに:経営改善は「一人ではできない」
経営が厳しくなったとき、経営者は孤独です。
資金繰り、売上減少、金融機関との関係――どれも日常業務の中で同時に解決するのは簡単ではありません。
そんな時、頼れるのが**認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)**です。
国が認定した専門家として、中小企業の経営改善や再建を支援します。
経営改善計画策定支援事業(早期経営改善計画・405事業)を利用する際も、必ずこの「認定支援機関」が関わります。
■ 認定経営革新等支援機関とは?
認定経営革新等支援機関とは、中小企業等経営強化法に基づき、
中小企業の経営力向上を支援できる専門家を国が正式に認定した機関のことです。
目的は、経営・財務・事業計画・資金調達などの分野で、
中小企業が**安心して相談できる「公的なパートナー」**を増やすことにあります。
■ 主な認定支援機関の種類
認定を受けている機関・専門家は、全国で4万件以上あります。
その多くは、以下のような立場の専門家・組織です。
| 種類 | 主な支援内容 |
|---|---|
| 税理士・会計士 | 財務分析、資金繰り計画、返済計画の策定支援 |
| 中小企業診断士 | 経営戦略策定、ビジネスモデル再構築、業績改善支援 |
| 弁護士 | 経営者保証解除、債務整理、金融交渉の法務支援 |
| 商工会・商工会議所・金融機関 | 経営相談、資金繰り調整、モニタリング支援 |
| コンサルティング会社・専門機関 | 事業再生、補助金申請、組織改革、マーケティング改善など |
それぞれ得意分野が異なるため、企業の課題に応じた選定が重要です。
■ 認定支援機関ができること
認定支援機関は、経営改善計画の策定だけでなく、
企業の財務・経営の全体をサポートする存在です。
主な支援内容は以下の通りです。
1️⃣ 現状分析・財務診断
損益構造や資金繰りを分析し、課題を数値で見える化します。
2️⃣ 改善計画の策定支援
経営課題の整理、売上・コスト改善策、資金繰り表、返済計画をまとめます。
3️⃣ 金融機関との調整・交渉支援
金融機関が納得できる資料を整え、交渉時に同席・助言します。
4️⃣ 伴走支援(モニタリング)
計画実行後も定期的に経営状況を確認し、継続的な改善を支援します。
■ 支援の質を保証する「認定制度」
認定支援機関は、単なるコンサルタントではありません。
中小企業庁が定めた一定の実務経験・知識・体制を満たすことが条件です。
- 認定要件
・財務・会計・経営管理に関する専門知識を有すること
・一定の実務経験(経営指導・財務分析など)を有すること
・継続的な支援体制を持つこと
さらに、国が運営する「経営革新等支援機関ポータルサイト」に登録され、
誰でも検索・確認できるようになっています。
つまり、「安心して任せられる専門家」であることを国が証明しているのです。
■ 経営改善計画での役割
経営改善計画策定支援事業において、認定支援機関は次のような中心的役割を担います。
| フェーズ | 支援内容 |
|---|---|
| 計画策定前 | 経営者とのヒアリング・課題分析・協議会との調整 |
| 計画策定中 | 財務分析・資金繰り表・返済計画・改善策の具体化 |
| 計画策定後 | モニタリング支援・金融機関への報告・経営助言 |
企業の現場と金融機関の間を“翻訳”する存在でもあります。
■ 良い支援機関を選ぶポイント
経営者が支援機関を選ぶ際には、次の3つのポイントを意識すると良いでしょう。
1️⃣ 「数字」と「現場」両方を理解しているか
財務の知識だけでなく、製造・建設・サービスなど現場感を理解しているか。
2️⃣ 「話しやすさ」
課題を率直に話せるかどうか。信頼関係を築ける相手かが重要。
3️⃣ 「金融機関対応の経験」
銀行交渉の経験がある支援者は、計画の実効性が高まります。
■ 認定支援機関との付き合い方
経営改善は「計画を作ること」が目的ではありません。
大切なのは、計画を実行し、継続して成果を出すことです。
そのためには、
- 定期的に打合せを行う(最低3か月に1回)
- 進捗を共有し、必要に応じて計画を修正する
- 成果だけでなく課題も共有する
という「伴走型の関係」が理想です。
信頼できる認定支援機関は、単なる専門家ではなく、経営者の右腕になります。
■ まとめ:頼れる専門家と歩む経営改善
経営改善計画は、経営者一人の努力では実現しません。
信頼できる認定支援機関と協働することで、初めて「実行可能な改善計画」が完成します。
もし、どの支援機関に相談すべきか迷う場合は、
中小企業活性化協議会に相談すれば、地域の認定支援機関を紹介してもらえます。

