
企業の成長性や経営の健全性を把握するためには、さまざまな財務指標を活用することが重要です。その中でも「営業利益成長率」は、企業が本業でどれだけ利益を安定的に伸ばしているかを示す重要な指標の一つです。
この記事では、営業利益成長率の基本的な定義や計算方法、活用のポイント、そして改善に向けた具体的なアプローチについてわかりやすく解説します。
営業利益成長率とは?
営業利益成長率とは、企業の営業利益がどの程度成長しているかを示す割合です。売上の拡大やコストの最適化など、本業の運営努力による成果を定量的に把握するために使われます。
この指標は単年の成長率だけでなく、複数年の平均成長率(CAGR)でも測定できます。年ごとのばらつきを抑え、企業の成長トレンドをより正確に捉えることができます。
営業利益成長率の計算方法
営業利益成長率の基本的な算出式は以下のとおりです。
matlabコピーする編集する営業利益成長率(%)=(当期営業利益-前期営業利益)÷ 前期営業利益 × 100
たとえば、前期の営業利益が1,000万円で、当期の営業利益が1,200万円だった場合、
matlabコピーする編集する(1,200-1,000)÷ 1,000 × 100 = 20%
つまり、前年と比べて営業利益が20%成長していることになります。
図解:営業利益成長率のイメージ
以下の図は、営業利益成長率のイメージを簡単に示したものです。
【図】営業利益成長率の構造
年度 |営業利益 |前年比増減 |営業利益成長率
------|---------|------------- |----------------
2022年|1,000万円|- |-
2023年|1,200万円|+200万円 |20%
2024年|1,500万円|+300万円 |25%
複利ベースでの成長:CAGR(年平均成長率)
単年だけでなく、複数年にわたる成長率を評価する場合には、「CAGR(年平均成長率:Compound Annual Growth Rate)」が用いられます。
CAGRの計算式:
scssコピーする編集するCAGR(%)={(最終年の営業利益 ÷ 初年度の営業利益)^(1/年数)-1}× 100
たとえば、営業利益が2020年に1,000万円、2023年に1,728万円であった場合、3年間のCAGRは以下のとおりです。
iniコピーする編集するCAGR = ((1,728 ÷ 1,000)^(1/3) - 1) × 100 ≒ 20%
このように、CAGRを使うと「毎年平均してどれくらい成長したか」が見える化され、単年度のブレに左右されない判断が可能となります。
業界平均と比較する意義
営業利益成長率の平均値は業種や企業規模によって大きく異なります。ある調査によると、全業種の平均は約34.1%、中央値は約10.8%とされています。
このような指標と自社を比較することで、業界内での自社のポジションや競争力を客観的に把握することができます。
注意点:
- 平均値より中央値の方が実態に近い傾向があるため、参考にする場合は両方を確認しましょう。
- 赤字から黒字へ転換した場合など、極端な数値が出るケースもあるため、文脈を踏まえた解釈が必要です。
営業利益成長率を高める方法
営業利益成長率を改善するには、大きく以下の2つのアプローチがあります。
1. 売上高の増加
- 新商品の開発・投入
- 新規市場や販路の開拓(例:海外展開、EC販売)
- 顧客単価アップを図る施策(セット販売、高付加価値品の提案)
2. コストの最適化
- 業務の効率化による人件費の削減
- 原価の見直し(仕入れ先の変更、バルク購入)
- 固定費の削減(事務所移転、ITツール導入による省力化)
売上を伸ばすことと費用を抑えることの両輪で取り組むことが、営業利益成長率の向上につながります。
まとめ:営業利益成長率は「本業の実力」を映す鏡
営業利益成長率は、企業が本業でどれだけ利益を継続的に伸ばしているかを把握するための重要な指標です。単年の比較に加え、CAGRを活用することで、より安定的な成長トレンドの分析が可能になります。
指標そのものをただ確認するだけでなく、売上増加と費用削減という視点から実行可能な改善策を講じることが、自社の利益体質強化につながります。
**営業利益成長率の向上は、持続的な企業成長のカギです。**自社の数値をしっかりと把握し、改善アクションにつなげていきましょう。