
企業の収益性を測る指標として、「営業利益率」と「経常利益率」はいずれも重要です。それぞれ本業とその外(財務活動など)を含む収益力を示します。本記事では、両者の違いから計算方法、業界平均、改善ポイントまでを整理して解説します。
1. 営業利益率と経常利益率の違い
営業利益率とは?
本業の収益力を示す指標で、以下のように計算します:
営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
営業利益とは、売上総利益から販売費・一般管理費を差し引いたものです。金融機関も重視する基本の指標です。
経常利益率とは?
本業に加えて金融収支なども含めた、企業全体の収益力を示します:
経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100
経常利益には、営業利益に営業外収益(受取利息など)や営業外費用(支払利息など)を加減したものが含まれます。
図解:利益の構造と指標の位置
売上高
└─ 売上原価
└─ 売上総利益(粗利)
└─ 販売費・一般管理費
└─ 営業利益 ← ここが営業利益率
└─ 営業外収益・費用
└─ 経常利益 ← ここが経常利益率
2. 指標の目安や基準
営業利益率の水準例
- 0%以下:赤字体質—改善が必要
- 0〜5%:一般的な水準
- 5〜10%:効率的な運営ができている
- **10〜15%**以上:非常に優れた収益性
経常利益率の参考値
全業種平均として「約4%前後」とされ、10%以上は「財務活動もうまく機能している」と判断できます。
また、データによると日本企業の平均営業利益率は近年**約5.5%**へ改善傾向にあります。en.wikipedia.org+5en.wikipedia.org+5en.wikipedia.org+5
3. どちらを重視すべき?
- 営業利益率 は本業の健全性や安定性評価に不可欠。
- 経常利益率 は、投資や資金運用なども含めた総合力を判断したいときに有効です。
状況に応じて両者を使い分けることが賢明です。
4. 指標比較から見える傾向
- 経常利益率 > 営業利益率
営業外収益が多く、投資や運用が収益に貢献している可能性。 - 経常利益率 < 営業利益率
営業外費用が嵩んでいるか、借入負担が重い可能性があります。資金繰りや借入条件の見直しが必要かもしれません。
5. 利益率改善の具体策
本業(営業利益率)を改善するには:
- 原価見直し:仕入先や在庫の管理最適化
- 販管費削減:広告や人件費などを見直し効率化
- 高付加価値商品への注力:利益率の高い材料で構成比を高める
総合収益(経常利益率)を改善するには:
- 借入コスト最適化:金利引下げや借換えなど
- 余剰資金の運用:配当や短期投資による収益確保
- 為替リスク管理:ヘッジ取引や外貨口座の活用
6. まとめ:数字で見る“経営の本質”
指標タイプ | 評価対象 | 用途例 |
---|---|---|
営業利益率 | 本業の効率性・収益力 | 安定した稼ぐ力の評価 |
経常利益率 | 営業+財務活動の収益性 | 総合的な企業力の評価 |
両指標を組み合わせることで、企業の収益構造や経営課題がより明確になります。定期的なチェックと改善で、経営の質を高めていきましょう。