
業務改善や問題解決に取り組む現場で、複雑な原因を整理できずに行き詰まっていませんか?
そんなときに役立つのが、「連関図法(Relation Diagram)」です。特に言語情報を扱う人事・営業・企画部門などで力を発揮するこの手法は、チームでのなぜなぜ分析をスムーズにし、本質的な改善策の導出を支援します。
連関図法とは?
連関図法は、「新QC七つ道具」の一つで、問題とその原因の因果関係を視覚的に整理するための図解手法です。
🔍 定義
ある問題と、それを引き起こす複数の原因との関係性を図式化し、真因を特定するためのツール
英語では “Relation Diagram”。“relation(関係性)”と“diagram(図解)”の通り、問題に対する多角的な要因とその構造を「見える化」できます。
どんなときに使う?
連関図法は以下のようなシーンで有効です:
- 問題の原因が多く、頭の中だけでは整理しきれない
- チームで課題を共有・議論したい
- 表面的な要因ではなく、本質的な問題(真因)を探りたい
たとえば「売上が伸びない」といったテーマに対し、競合・広告効果・担当者のスキルなど多くの要因が絡むとき、この手法が真価を発揮します。
連関図法の作成ステップ:5段階で誰でも実践可能
連関図法は、以下の5ステップで進めます。
✅ STEP1:問題(テーマ)を明確にする
まずは「〇〇が〇〇である/でない」といった形で問題を具体化します。
例:
- 「製品の不良率が高い」
- 「プロジェクトが予定通りに進まない」
これは図の中心になる“出発点”です。
✅ STEP2:原因を洗い出す
原因となり得る要素を ブレーンストーミングなどで広く出し合います。
ポイントは以下の2つ:
- 1枚1要因(カード/付箋を使い、意味は1つに絞る)
- 体言止めNG(動詞や述語を入れて具体的に)
📌 ツール例:Google Jamboard、Miro、付箋+ホワイトボード
✅ STEP3:模造紙(またはデジタルボード)に問題を配置
大きめの紙、またはツール上に問題を中央へ配置し、太枠や色で目立たせましょう。
→ ここから図の展開がスタートします。
✅ STEP4:原因の因果関係をたどる(1次→2次→3次)
原因カードを整理しながら、次のように進めます:
- 問題に直接関係するもの=1次原因
- 1次原因を引き起こすもの=2次原因
- さらに深い原因=3次原因
カードを矢印で結びながら、因果関係を明確にしましょう。
図が構造的に広がると、問題の“構造”が浮かび上がってきます。
✅ STEP5:主要原因を絞り込む
全体を俯瞰し、問題に最も強く影響する原因=主要因を選びます。
特に2次や3次原因の中から選ぶと、対策が具体的になります。
💡 色付け、太線、囲みなどで視認性を高めましょう。
テンプレートで簡単導入:連関図法シート(無料DL)
以下のテンプレートを使えば、誰でもすぐに取り組めます。
フィールド | 記入例 |
---|---|
テーマ | 顧客対応の遅延が多い |
1次原因 | 担当者の対応件数が多い、連絡ミスが発生 |
2次原因 | 業務の属人化、情報共有不足 |
3次原因 | マニュアルが未整備、チーム内の教育不足 |
主要因 | マニュアルの未整備・教育体制の欠如 |
📎 テンプレート配布先:Google Sheets / PDF形式で社内共有可能
実際の事例:3S活動が進まないケース
実際の現場での連関図法の活用例をご紹介します。
テーマ:「3S活動が計画的に進まない」
➤ 抽出された主要因:
- リーダー教育の未実施
- 推進者教育の不足
- メンバー教育の欠如
- 会議の工夫不足
このように、教育体制とコミュニケーション設計が根本的な原因と特定され、対策として:
- 教育プログラムの再設計
- 会議のタイムマネジメント改善
といったアクションへとつながりました。
まとめ:連関図法はチームで使う「構造思考ツール」
連関図法は、単なる原因整理ではなく、チームで“構造的に考える”ための実践ツールです。
- 視覚的に全員で問題を共有
- 多角的な視点でモレ・ダブリをなくす
- “なぜなぜ分析”を無理なく深める
- 具体的な対策につなげられる
📌 活用のヒント:
- 定例会議での問題共有に
- 若手メンバーの育成ツールとして
- 改善活動や品質管理プロジェクトで
複雑な問題ほど、チームで“見える化”することが鍵です。
ぜひ、連関図法を職場に取り入れ、改善の一歩を踏み出してください。