消費者の購買行動を体系的に理解するうえで欠かせないフレームワークが「AIDMA(アイドマ)」です。1920年代に提唱されたこのモデルは、現代でもなお多くのマーケティング戦略に活用されています。

本記事では、AIDMAの5つの心理ステップをわかりやすく解説し、それぞれに適したマーケティング施策を紹介。さらに、近年注目される「AISASモデル」との違いについても触れ、現代のマーケティングに役立つ視点を提供します。


AIDMAモデルとは?

AIDMAは、消費者が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの心理的プロセスを5つの段階で表したモデルです。

AIDMAの構成要素

AIDMAモデル:消費者の購買行動5ステップ

1. Attention(認知)
2. Interest(関心)
3. Desire(欲求)
4. Memory(記憶)
5. Action(行動)

この5ステップは直線的に進むとされ、それぞれの段階で消費者の心理状態を理解し、適切なアプローチを行うことが重要です。


各ステップと効果的な施策

1. Attention(注意・認知)

【目的】まずは商品やサービスの存在を知ってもらう段階。

【施策例】

  • マスメディア広告(TV・新聞・ラジオ)
  • Web広告(バナー・動画・SNS)
  • インフルエンサーマーケティング
  • SEO対策やオウンドメディア

【ポイント】
印象に残るコピーやビジュアルで視覚的な注目を集めることが重要です。


2. Interest(関心)

【目的】「もっと知りたい」と感じてもらう段階。

【施策例】

  • 商品紹介ページ
  • 比較表・FAQ
  • ユーザーレビューや導入事例
  • ウェビナーやホワイトペーパー

【ポイント】
関心を引きつけるには、「自分に関係がある」と思わせる情報設計が鍵です。


3. Desire(欲求)

【目的】「これを使ってみたい」と思わせる段階。

【施策例】

  • 無料トライアル・サンプル配布
  • 使用シーンの提案
  • 顧客インタビューや動画
  • キャンペーン(期間限定など)

【ポイント】
感情的なメリットと機能的な優位性の両面を訴求することで、購買意欲が高まります。


4. Memory(記憶)

【目的】すぐに購入されない場合でも、記憶に残す。

【施策例】

  • メールマガジンやSNSでの継続的発信
  • リターゲティング広告
  • パーソナライズされたDM

【ポイント】
高価格帯やBtoB商品では、継続的な接点が検討継続のカギとなります。


5. Action(行動)

【目的】実際の購入や契約につなげる最終段階。

【施策例】

  • ECサイトのUI最適化
  • 多様な決済手段の用意
  • 限定オファー(例:今だけ割引)
  • アフターサポートや返品保証の明示

【ポイント】
「買いやすい環境」を整えることと、「後押しするきっかけ」の提供が効果的です。


AISASとの違いとは?

インターネットの普及により、現代の消費者行動をより的確に表すモデルとして「AISAS(アイサス)」が登場しました。これは、検索と共有という行動が加わっている点が特徴です。

AISASの構成

AISASモデル

1. Attention(認知)
2. Interest(関心)
3. Search(検索)
4. Action(行動)
5. Share(共有)

AISASは、ユーザーが自ら情報を探し、購買後にSNSなどで共有するという、より能動的な行動を前提としています。

違いの要点(比較図解)

モデル特徴時代背景
AIDMA記憶を経て購買に至るマスメディア中心の時代
AISAS検索と共有が重要インターネット時代

AIDMAを活用するためのビジネス的視点

AIDMAは単なる理論ではなく、各フェーズに応じた戦略立案のベースとして活用できます。以下のような活用方法を意識することで、より実践的な成果につながります。

  • ターゲット分析とAIDMAの段階整理
    • 自社の商品やサービスが、現在どの段階の消費者に向けて展開されているかを可視化しましょう。
  • 施策ごとの効果測定
    • 各ステージのKPI(例:広告接触率、LP遷移率、CVR)を設け、PDCAを回す仕組みづくりが重要です。
  • AISASと組み合わせた柔軟な運用
    • デジタルチャネルではAISAS、リアルな販促や高単価商品の場合はAIDMAと、場面によってモデルを使い分けると効果的です。

まとめ

AIDMAモデルは、消費者の購買行動を体系的に理解するための基本的なフレームワークです。各ステップにおいて消費者がどのような心理状態にあるのかを把握し、適切な施策を講じることで、スムーズな購買行動を促すことができます。

図解や段階別戦略を活用しながら、自社のマーケティング施策にAIDMAを取り入れてみましょう。