企業が資金調達を行う手段として、ファクタリングと融資があります。
これらはそれぞれ異なる特徴を持ち、企業の状況に応じて選択が異なります。ここでは、ファクタリングと融資の違い、およびそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

サービス内容の違い

ファクタリングは、企業が保有する売掛債権を売却して資金を調達する方法です。
これにより、取引先からの入金を待つことなく現金を手に入れられます。ファクタリングには、企業が持つ売掛債権を買い取る「買取型」と、売掛先が倒産した場合でも債権を保証する「保証型」があります。

一方、融資は金融機関からお金を借りる形態であり、返済義務が伴います。
公的融資と民間融資があり、具体的には「手形貸付」「証書貸付」「当座貸越」など、条件により多様な形態があります。

資金調達額の違い

融資は、数百万円から数十億円単位で資金を調達でき、企業の評価に基づいて金額が決まります。
一方、ファクタリングでは、調達できる資金額は売掛債権の額面までとなり、特に高額な資金調達が必要な場合には融資の方が適しています。

資金調達にかかる時間

ファクタリングは審査が比較的簡単で、スピーディに資金調達ができる点が特徴です。
最短で即日、遅くても1週間以内には資金を手に入れることが可能です。

一方で融資は、事業計画書や財務書類の準備が必要で、審査にも時間がかかります。
数ヶ月かかることもあるため、迅速な資金調達を求める場合にはファクタリングの方が有利です。

審査の違い

ファクタリングでは売掛先の信用度が審査の対象となります。売掛先の経営が安定していれば、自社の状況にかかわらず資金調達が可能です。

融資の場合、審査の対象は自社の財務状況や事業計画、返済能力です。融資の審査はファクタリングよりも厳しく、自社の評価が低い場合には融資が通らないこともあります。

返済の有無と方法

ファクタリングは売掛債権を売却しているため、返済義務はありません。
2社間ファクタリングの場合、取引先からの入金があれば、それをファクタリング業者に支払いますが、返済期間は緩やかです。

融資では借りたお金を返済しなければならず、返済期間や方法は契約内容に基づきます。
返済期間が長期にわたり、返済方法は一括返済、分割返済、残高スライド返済などがあります。

コスト面の違い

ファクタリングには手数料がかかります。手数料は売掛債権の額面に対して1~20%程度で、特に2社間ファクタリングでは手数料が高くなる傾向があります。

融資の場合は、利息や保証料がコストとして発生しますが、金利は比較的低めです。
信用格付けが高い企業は低金利で融資を受けられる可能性がありますが、信用が低い企業は金利が高くなることがあります。


ファクタリングのメリット・デメリット

メリット

  1. 迅速な資金調達:即日から数日で現金を手に入れられる。
  2. 未回収リスクの軽減:売掛先の倒産によるリスクを回避。
  3. バランスシート上の負債増加防止:負債として計上されないため資金繰りが楽。

デメリット

  1. 手数料がかかる:手数料は1~20%、2社間で10~20%。
  2. 売掛先の影響を受ける:売掛先の状況次第で利用が難しい場合がある。
  3. 信頼関係のリスク:3社間の場合、売掛先に債権譲渡が知られるリスク。

融資のメリット・デメリット

メリット

  1. 低金利で利用可能:金利は2~6%程度で利用可能。
  2. 多額の資金調達が可能:数百万円から数十億円まで対応可能。
  3. 取引実績の構築:返済実績が信用に繋がる。

デメリット

  1. 時間がかかる:審査や書類準備に時間がかかり、最長で3カ月。
  2. 返済義務が発生:借入金に対し返済義務がある。
  3. 審査が厳しい:財務状況や事業計画の厳格なチェックがある。

まとめ

ファクタリングと融資は、どちらも資金調達の方法として有効ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ファクタリングは迅速に資金を調達できる一方で、手数料が高くなる可能性があります。
融資は低金利で大きな金額を調達できますが、審査に時間がかかり、返済義務も発生します。自社の資金調達のニーズに合わせて、最適な方法を選ぶことが重要です。両者の特徴を理解し、効果的に活用しましょう。