業務の効率化や高度化を図るうえで、産業用ドローンの導入は多くの企業にとって魅力的な選択肢です。しかし、初期投資の大きさに不安を感じる企業も少なくありません。
そんなときに活用したいのが、国が実施する「ものづくり補助金」です。

本記事では、産業用ドローン導入における補助金の活用方法、対象経費、採択事例までを詳しく解説します。


「ものづくり補助金」とは?

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
中小企業や小規模事業者が行う革新的な取り組みに対して、設備投資やサービス開発の費用を一部支援する制度です。

この補助金は製造業だけでなく、建設業、農業、IT、物流、サービス業など多様な業種で活用されています。


産業用ドローンの費用感と導入の壁

産業用ドローンにはさまざまな種類があり、用途によって価格帯も異なります。

用途概要価格帯(参考)
空撮・点検用建設現場、インフラ点検など約20~80万円
測量用地形・地盤調査、高精度マッピング約120万円前後
農業用(散布型)農薬散布や育成状況の把握約180万円~200万円超

高性能な機体ほどコストは高くなるため、補助金の活用による費用軽減は導入の重要な後押しとなります。


補助対象となる経費一覧

「ものづくり補助金」では、ドローン本体だけでなく関連経費も幅広く対象となります。

区分内容例
機械装置費ドローン本体、カメラ、バッテリー、操縦システム、専用ソフト
技術導入費ドローン運用に必要な技術ライセンスや知的財産権の導入
専門家経費操作指導・安全講習の講師料、ドローン活用コンサルティング
運搬費ドローン機器の輸送や設置にかかる費用
クラウド利用費データ管理や操作支援のためのクラウドサービス費用

【図解】ドローン導入における補助金対象の流れ

A[ドローン本体] --> B[機械装置費]
A --> C[専用ソフト・操縦システム]
B --> D[クラウド活用・データ管理]
C --> E[技術導入費・講習・専門家費]

採択された活用事例

実際に「ものづくり補助金」を活用してドローンを導入した事例は数多くあります。以下はその一部です。

高精度3D測量
 測量会社が地形の可視化・3Dマッピング用のドローンを導入。従来の人手による作業時間を大幅に短縮し、納期短縮と安全性向上を実現。

水中ドローン活用による設備点検
 港湾施設の保守を手がける企業が、水中ドローンを導入。従来のダイバーによる点検と比べて、作業の安全性と効率を大幅に向上。

ドローンレーザーシステムの導入
 建設会社がレーザー搭載型ドローンを導入。地盤調査や造成計画の精度が上がり、無駄な重機作業を削減。

太陽光パネルの点検業務
 メンテナンス会社が赤外線カメラ付きドローンを導入。太陽光パネルの故障箇所を迅速に特定でき、作業工数が約30%削減。


なぜドローンが補助対象になるのか?

国が「ものづくり補助金」でドローン導入を支援する背景には、次のような理由があります。

  • 人手不足の解消:自動化により作業効率を高め、労働力不足に対応。
  • 安全性の向上:危険を伴う高所作業や災害現場のリスクを軽減。
  • 業務品質の改善:高精度なデータ取得や作業の標準化を実現。
  • 生産性の向上:短時間で高効率な業務遂行が可能に。

注意点:補助金の対象とならないケース

補助金を申請する際には、次のようなケースが対象外となるため注意が必要です。

  • 趣味やホビー目的のドローン購入
  • 単純な設備更新(革新性がない場合)
  • 中古品の購入(要件を満たさない場合)
  • 他補助金と重複した内容の事業

補助金を受けるためのステップ

補助金を活用するには、事前準備と申請手続きが欠かせません。

  1. 事業計画の策定
     ドローン導入の目的、期待される効果、実施スケジュールを明記
  2. 専門家への相談
     中小企業診断士や認定支援機関からの支援を受けることで、申請の精度が向上
  3. 公募要領の確認
     経済産業省や補助金公式サイトで最新情報を確認し、対象経費・期限を把握
  4. 申請書提出と審査
     必要書類を揃えて申請。採択後、事業開始・実績報告を経て補助金が交付

まとめ:ドローン×補助金=革新の第一歩

産業用ドローンの導入は、業務の効率化、品質向上、安全性確保に大きく寄与します。
「ものづくり補助金」を活用すれば、初期コストを抑えながら革新的な取り組みを実現することが可能です。

業種や地域を問わず、ドローン活用の可能性は年々広がっています。
今こそ、自社の課題に応じた導入計画を立て、補助金を活用した一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


補助金の最新情報は経済産業省・中小企業庁・補助金公式サイトを定期的に確認してください。
必要に応じて、専門家との連携を通じて申請成功率を高めていきましょう。