
食品メーカーが抱える悩みの多くは、
「人手に依存した作業」に集中しています。
- 包装に人が張り付いている
- 計量・盛付けが属人化している
- 外観検査に数人が必要
- ベテランの勘に頼る工程が多い
- 生産量を増やしたくても“人がいない”
こうした状況を解決するために、
経済産業省が始めた制度が 省力化補助金(一般型) です。
■ 中小企業省力化補助金(一般型)は“ライン構築の補助金”
もっとも誤解されやすい点があります。
❌ 「包装機を買えば使える補助金」ではありません
⭕ 「自社の工程に合わせたラインを組む補助金」です
要項では次のように書かれています。
■ 人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入を行う事業計画を策定すること。
■ 汎用設備の単体導入は対象外。
■ ただし、汎用設備の組み合わせにより高い省力化効果が出る場合は“実質オーダーメイド”とみなす。
つまり食品メーカーの場合は、
✔ 包装機 × 計量機 × 周辺自動化
✔ 検査機 × 排除装置 × データ連携
✔ 搬送コンベア × 自動箱詰 × ラベル自動貼付
といったように 「ラインとして機能する設計がある」 ことが必須。
食品工場ではもともと作業が連続しているため、
この仕組みと補助金の相性は非常に良いです。
■ 対象となる省力化(食品メーカー向けの具体例)
① 包装工程
- ピロー包装機
- トレーパック
- 自動シール
- ラベル貼付機
- オートケーサー
→ 2~5人削減の実績が多く、ライン化がしやすい
② 計量・盛付け工程
- 多頭計量機
- 自動盛付けライン
- オートスケール
→ ばらつき解消・歩留まり改善にも直結
③ 外観検査・異物検査
- AI外観検査
- X線検査
- 金属探知機
- 排除装置
→ 人手検査ゼロ人化が評価される
④ 冷却・冷凍・加熱
- 真空冷却
- 急速凍結
- 自動ボイル釜
- 温度自動管理装置
→ HACCPにも貢献するため審査で有利
■ 補助金額・補助率(要項準拠)
| 従業員数 | 上限額 | 賃上げ特例の上限 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 750万円 | 1,000万円 |
| 6〜20人 | 1,500万円 | 2,000万円 |
| 21〜50人 | 3,000万円 | 4,000万円 |
| 51〜100人 | 5,000万円 | 6,500万円 |
| 101人以上 | 8,000万円 | 1億円 |
補助率は:
■ 1,500万円まで
- 中小企業:1/2(特例で2/3)
- 小規模(20人以下):2/3
■ 1,500万円超部分
- 一律 1/3
食品メーカーの多くは「6〜20名」「20〜40名」なので、
1,500〜4,000万円のライン構築に使えるのが強い。
■ 審査ポイント(食品メーカー向け)
一般型で最重要となるのは次の3点です。
① どの工程を何人削減できるか
例:包装工程
- 現状:5名
- 導入後:2名
→ 3名削減
この“人員削減効果”が核心。
② オーダーメイド性はあるか
次のような説明があれば採択率が大幅UPします。
- 汎用機3台を組み合わせて自社向けラインに構築
- 既存設備と連携するための改造が必要
- 自社商品特性に合わせたパラメータ設定が必要
- 作業動線に合わせた搬送設計が必要
=実質オーダーメイドとみなされる
③ 設備導入が付加価値につながるか
例:
- 歩留まり3%改善
- クレーム減少
- 生産量20%増加
- 残業削減
- HACCP高度化
省力化だけでなく“事業価値向上”も評価対象です。
■ よくある質問
Q. 汎用包装機を単体で導入できますか?
→ できません。(一般型は単体導入NG)
ただし、自動ラベル機や検査機と組み合わせてライン化すれば対象。
Q. 検査機や計量機も同じですか?
→ 同じです。単体導入は対象外。
ライン設計が必要です。
Q. オーダーメイド設備が必須ですか?
→ 必須ではありません。
汎用設備を組み合わせて“実質オーダーメイド”なら対象。
■ まとめ:食品メーカーは一般型と相性が最高
食品工場はもともと「連続作業」「人手作業」が多いため、
省力化補助金(一般型)と非常に相性が良いです。
- 包装・計量・検査が“人手依存”
- オーダーメイドラインを組みやすい
- 付加価値向上(歩留まり・品質)につながる
- 多くが小規模企業で補助率が高い(2/3)
食品メーカーにとって、
一般型は “使わないと損” レベルの制度です。

